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Re: レモン色ドロップ。【短編集】〜リクエスト募集中〜 ( No.2 )
日時: 2013/01/19 15:40
名前: 上総 (ID: SnkfRJLh)

[確かなことは、 ]


「よっ!こんなところで何してんの?」

後ろから声をかけられて、肩を叩かれる。
振り向けば、笑顔のキミ。

「いや、別に……」

肩を叩かれただけでドキドキしてしまう。
赤くなる顔を見られたくなくて、目を逸らせば追われる視線。

「なんで目ぇ逸らすんだよ」

「……彼女、待ってるんじゃないの?」

言えば、また少し笑うキミ。
でも、さっきの笑顔とはまた違っていて。

やめて、やめてと体中が叫んでいる。
彼女、なんて言いたくない。言ってしまえば、私は自分で自分の恋を否定してしまうような気がして。
だけど、ここでキミと必要以上に長い時間一緒にいるのも耐えられなくて。


(だってキミには、彼女がいる)

「じゃあな!」

そう言って手を振る君に、また胸が高鳴る。
急いで走っていくキミを目で追っていくと、そのまま校庭を突っ切って、だんだんとゆっくり歩きはじめるのが見えた。


隣には、女の子。

見えた横顔は、笑っていた。心から。

そうだ、私が好きなのは、あの笑顔。
だけどあの笑顔は私には向けられない。


なんて残酷な、けれども紛れもない現実。








(確かなことは、彼が私を見ていないという現実)