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[　重なる影と、ふたりの想い　]




「わかりません」

「どこが分かんないの？」

オレンジ色の光が射し込む教室で、2人の声が響く。
誰もいなくなった、2人だけの空間。
1人は浅野という男性教師で、もう1人はその浅野を慕っている早尾という女子生徒。
両想いではあるものの、恋人同士ではないこの2人。
好きだとかそんな感情の前に、先生と生徒という関係性が邪魔をしていた。

「違います」

（わからないのは、問題じゃなくて）

「わかんないのは、先生の、気持ちです」

考えれば考える程、泣きそうになった。
本当は好きじゃないのかもしれないとか、本当は同い年くらいの恋人がいるんじゃないかとか。
教師として山ほど仕事を抱える浅野に、そんな質問できなかった。
どうにか浅野の重荷にだけはならないようにしよう、普通に振る舞おうと。
必死にそう思えば思う程、会える時間は減っていき、寂しさと虚しさだけが残った。

聞いた浅野は案の定驚いた顔をしていて、それがまた涙を生む。
瞳から零れた雫は、勢いをつけたようにぽろぽろ零れていく。

「早尾、…………美希」

ふいに名前を呼ばれて思わず顔を上げると、ぎゅっと抱きしめられる。


ふわり、風に舞うクリーム色のカーテンに映った影が、ゆっくり重なった。






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いきなり糖度高くなったんですけどどーした甘月！

浅野せんせー→担当は数学、25歳
早尾ちゃん→下の名前は美希、14歳。そんなに頭悪くない。