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Re:  いろはにほへと、 ( 短編集 ) ( No.109 )
日時: 2013/01/19 16:01
名前: 雨月 ◆Dtcgw7lf52 (ID: SnkfRJLh)


[ あなたが笑ってくれるなら、 ]




「おはようございます美麗さん、今日も綺麗ですねあっ、そうだ今度映画にでも行きませんか?たまたまチケット2枚買っちゃって……いやたまたまですよ別に美麗さんと行こうかなーなんてそんな不純なことは考えてませんからそんなことより、」

「うるさい」

ガッ、と音が鳴り、石田が倒れる。
自分が放ったキックは多分綺麗に鳩尾に入ったのだろうことをそれで確認する。
毎日毎日、呆れるぐらい付き纏ってくる石田に、最近少し尊敬の念を抱いている。
それが恋愛感情に直結することは無く、だ。

「やっぱり美麗さんのキックは効きますね……くっ、でもこんなことで僕はめげませんよこれも愛情の裏返しだということは最初から分かっていましたからさあ僕の胸の中に飛び込ん……」

どこで息継ぎしているのか分からないくらいペラペラと話す石田に、本日二度目のキックをかます。
別にドSなわけでも意地悪なわけでも無いが、倒れる石田の姿は何度見ても面白い。
ただ単に石田が付き纏ってくるから、それを蹴散らしているだけであってツンデレでもなんでもないはずだ。
寧ろ非は石田にあって、世間ではこういうのをストーカーと言うんではないだろうか。

「どうしてそこまであたしに付き纏うわけ?」

「美麗さんが好きだからです」

このやり取りも、今までもう何度も繰り返してきている。
その度、石田の答えは同じなのだけれど。

「僕は美麗さんが笑ってくれるなら、それでいいんです。好きな人に悲しい顔をさせたくないのは、当然でしょう?」

二度も蹴られたはずなのにケロリとしている石田は満面の笑みでそう言った。


(いつもいつも、)
(その言葉に、その笑顔に胸がときめくのはなぜ?)








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一回書いてみたかったストーカーとツンデレちゃんのおはなし。
美麗ちゃんはお嬢様で、ツンデレちゃん。石田君はストーカー優男くん。
年齢設定とか細かい設定はしてませんw