コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: レモン色ドロップ。【短編集】〜リクエスト募集中〜 ( No.24 )
- 日時: 2012/12/01 18:58
- 名前: 上総 (ID: SnkfRJLh)
【幽霊よりも怖いもの】 甘
「きゃあっ!」
俺の隣で叫びながら、腕に抱きつくコイツ。
「お前怖がりすぎだろ」
「だってぇ……わあっ!」
この季節に、よくある心霊番組。
流れる映像全てに律儀に反応するコイツを、ちょっと可愛いとか思っている俺は、不謹慎だろうか。
多分コイツは、俺がわざと見たい番組を録画してまで心霊番組にチャンネルを変えている意味が分かっていない。
(こういうの見てたら怖がって抱きつくかな〜とか、思ったんだけど)
案の定上手くいった。いや、上手くいきすぎて怖い。
(よし、もうちょっとからかってみるか)
「俺、トイレ行ってくるわ」
そう言って腕を離し立ち上がろうとすると、“えぇ!?”と言って服の裾を引っ張ってくる恋人。
ホントはトイレになんて、行かなくても大丈夫だけど。
1回一人にしておけば、戻ってきたときもっとくっつけるかも、とか思ったりして。
「ちょっとぉ、一人にしないでよ」
涙目で俺を見上げてくる恋人に、すでに心が折れそうだ。
(ダメダメ、そういう計画なんだし)
「俺、トイレ行かないと死ぬかも」
「そんなわけないじゃん!!いいからここにいてよ……」
「いやいや、ホント。死ぬかもしんない」
トイレに行かなかったくらいで死にはしないと思うけど、脅してみる。
否定しながらも弱気になってる様子を見て、トイレに行こうとした、その時。
「ヤダ」
「はぁ?」
「怖いもん」
「だからトイレ行かせろって!!」
「一人になるのは嫌だけど、死ぬのはもっとヤダ。
幽霊とかオバケより、あんたがいなくなるのが一番怖い」
きゅん。
ヤバい、きゅんとしました。俺。
アニメとかマンガでよく出てくるような感じでハートを射止められました、俺。
「……分かったよ、悪かった。ホントはトイレとか行く気ねぇし」
「はあ!?何それ」
あとでたっぷり怒られたけど、そんなの気にしない。
(俺だって、お前がいなくなるのとか怖いよ)
幽霊よりも怖いのは、……?