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Re: レモン色ドロップ。【短編集】〜リクエスト募集中〜 ( No.48 )
日時: 2013/01/19 17:25
名前: 上総 (ID: SnkfRJLh)

[ フェイク*ファー ] 君音様リクエスト



12月。
まだ雪は降っていないけれど、充分すぎるくらい寒い。
けれど、首に巻いたフェイクファーのマフラーは暖かい。
街はイルミネーションでキラキラ輝き、カップルが行き交っている。

そう。今日は恋人たちにとって一大イベントのひとつ、と言っても過言ではないクリスマス。
私にだって恋人はいるわけで。

「遅れてごめん!!」

目の前で手を合わせて謝るコイツが、私の恋人。
情けない、ナヨナヨしたいわゆる草食系男子って奴。

「はい、これ!」

そう言って差し出されたのは、ホットココア。
多分、来る途中で自動販売機で買って来たのだろう。まだほんのり温かかった。

「……甘いもの嫌いなんだけど」

「えっ、嘘!?」

この状況で嘘をついてどうするんだ、というツッコミは心の中にしまっておいて。
まあ甘いものは嫌いだけど、暖を取るにはちょうどいいから、「別にいいけど」と呟いて両手でココアを握った。(中身はコイツに飲ませればいいし)

すっかり冷たくなった手が、だんだん温かくなっていく。
それに反して、ココアは少しぬるくなっていく。


「メリークリスマス」

少しロマンチックに呟いた恋人。
と、共に何かが上から降ってきた。

(雪……?)

「うわ〜、すごい!!」

ホワイトクリスマスだね〜、なんて呑気に言っている恋人を見ていると、自然と顔が緩む。


「ねぇ、」

キス、しないの?

小さく、掠れた声でそう呟けば、顔を真っ赤にする恋人。
クリスマス、雪、カップル。
これが3つそろった時にすることって言ったら、ひとつしかないじゃない?

ごくり、と唾を飲み込んで目の前まで近づいてくる恋人。
そんな様子を見ていると、なんだかこっちまで緊張してくる。

あともう少しで唇が触れる、そう思った時。



「っくしょん!!」

この状況に似つかわしくない、大きな声。
どうやら恋人は、フェイクファーのマフラーがくすぐったかったらしく、くしゃみをしたようだった。

(…………最っ悪)


「……帰ろ」

「えっ、ちょっ、待っ、」

待って、と言いかけた恋人の唇を、自分の唇で塞ぐ。
目の前には、顔をリンゴみたいに赤くした恋人。

(バーカ、)

(私だって、キスぐらいしたかったっつうの)


早く、家に帰ろう。
家に帰って、マフラーを取ってもう一度。

今度は向こうから、キスさせてやる。










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君音様、大変遅くなってしまい申し訳ありません!!
見返してみたらちょうど1ヶ月前にリクエスト頂いたものでした…orz
しかもなんか思ってたのと違う!!
こんなオラオラ系女子にしようとは思っていなかったんですが…あれ、なんでだろう。←

とりあえず一足も二足も先のクリスマスネタでしたが。
草食系男子と肉食系女子って今よく見かけますよねーって話です。

君音様、リクエストありがとうございました!!