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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【リク募集中】泡沫グレープフルーツ【短編集】 ( No.71 )
- 日時: 2013/01/19 17:07
- 名前: 上総 (ID: SnkfRJLh)
- 参照: 今更ハロウィンネタ……orz
[ Trick and Treat? ]
「トリックオアトリート!!」
「……」
目の前で叫ぶ、私の恋人。
確かに今日は10月最後の日で、街はハロウィン一色だけれど。
朝っぱらからそんなことを言われても、まだ完全に覚醒していない脳はついていけない。
ドヤ顔でさっきのセリフを放った恋人は、私の反応が無いことに戸惑っている。
どこから持ってきたんだか黒いマントを羽織り、先のとんがった帽子を被った恋人。
まるで子供じゃないかと、そう思い溜め息をついた。
「……トリックオアトリート!!」
その溜め息に何を思ったか、今度は少しボリュームを上げて言う。
もちろん、私はそれを華麗にスルーして朝食を口にする。
「ちょ、ちょっと」
「何?」
「お菓子くれなきゃイタズラするぞ!!」
と、今度は日本語で言ってくる。
別に言葉の意味が分かっていなかったわけではない。
ただ単に、朝からそんな面倒臭いことには付き合ってられないだけ。
「…………」
とうとう黙ってしまった恋人に、内心ほっとする。
普段からうるさい恋人なだけあって、こういうことに巻き込まれると相当面倒臭い。
だから、こういう時は無視するに限るのだ。
そんなことを考えていると、箸を持っていた手を掴まれた。
不思議に思い顔を恋人の方に向ければ、これでもかという程近くにある顔。
「お菓子、くれなきゃイタズラするぞ」
と、至極真剣な眼差しで言われて、ドキリとする。
時々見せるこの瞳に、不覚にもいつも心臓が跳ねてしまう。
キッチンの方に行けば、キャンディーがあるはずだ。
でも、このままイタズラされるのも悪くないかもしれない。
(お菓子とイタズラ、欲しいのはどっち?)
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