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Re: 【リク募集中】泡沫グレープフルーツ【短編集】 ( No.73 )
日時: 2013/01/19 16:56
名前: 上総 (ID: SnkfRJLh)

[ 彼女が俺を残して、卒業する日 ]


「バイバイ」

そう言ってふわりと笑った彼女は、桜とともに門の向こうに消えていった。


思えば1年前、この高校に入ったとき。
偶然見かけた彼女に一目惚れして、それからずっと、彼女を想い続けていた。
あわよくば付き合いたい、なんていう俺の浅はかな欲望は彼女の一言よって打ち砕かれた。

「本当、良い後輩を持ったなぁ」

要するに、俺はただの後輩だということである。
必死にアタックしていたというのに、彼女は鈍感であるが故に気付いていなかったのだ。
俺の、この淡い想いに。

2度目の春が巡ってきて、彼女がこの学校を去る時がやって来た。
年上に恋したと、その時点でこの瞬間が来ることは分かっていたはずなのに。
なのに、なぜこんなにも哀しいのだろう。
なぜこんなにも切ないのだろう。
女々しすぎるだろ、俺と思いながらも胸は痛んだままだった。

彼女は県外の学校に行くらしいから、県内の学校に進もうと決めていた俺には追いかけることなんて出来ない。




(桜とともに、散った想い)