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第9話「一人ぼっち」

……バカだ。

わたし。

「わたし、大好きな人がいるの……」

言えばいうほど、心がきしむ音がする。

「でもね、その人はきっとわたしの事好きじゃない……」

優しい笑顔で聞く駿くんを見ると、本当の気持ちが溢れそうで。

「きっと、振り向かせられるよ。」

駿くんが、優しく呟いた。
でも、悲しそうで。

「僕が応援する。その気持ち、大切にして。」

瞬間、わかった。

駿くんの気持ちが。










——駿くんは、結衣が好きなんだね……








「あり…がとう……」


そういうしかなくて。

気持ちが伝えられないまま、逃げてしまう自分が嫌でたまらなかった。





——どうして、悲しそうな顔をしたの……?



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「結衣、次移動教室だよ!」
「うん!いこ。」

そう言って、結衣はわたしではない友達と行く。


——あの場所には、いつもわたしがいたのに……


きゅっと胸が痛くなった。

わたしは一人。


だってわたしには結衣しかいなかった。

その結衣がいなくなったら。


わたしは本当に一人ぼっちになってしまった……