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Re: 【ボーイズ・ハイ!!】 ( No.9 )
日時: 2012/08/11 15:29
名前: 柊 (ID: pzCc2yto)


 【1.空を飛ぶ】
 
  (3)

俺は、紘一が戻ってくるのを校門の前で待っていた。俺等以外の生徒はもうすでに下校しており、聞こえてくるのはカラスの鳴き声だけである。

「春臣君!」

いつの間にか紘一が俺のそばまで来ていた。
俺は歩きだした。

「どうだった、あの女子生徒は」

「気を失っていただけみたいだね。すぐに意識を取り戻すだろうから、担任が家まで送るって」

「女子生徒が自殺未遂だったってことは—————」

「言ってないよ。そのことは彼女から話すことだと思うしね。俺等が担任や家族の人に伝えたところで、彼女の混乱を招く可能性は免れない。
……春臣君はどう思う?」

「俺は、紘一の意見に賛成だけどな……」

どんな理由があって自殺しようかと思ったかまでは知らないが、強い意志で自殺しようとしていた人物が自殺未遂だった場合、もう一度自殺しようとすることも考えられる。


————俺がそんな事を考えていたのを察したのか、紘一は「大丈夫だよ」と俺に小さく笑ってみせた。

「経験者の俺からみてさ、彼女は何か迷っていたように見えたんだよ。
それに、気になることもある。彼女がなぜ学校の屋上を選んだか」

「……ああ」

紘一が言っていることは一理ある。
だが、何か腑に落ちない。。

「赤の他人がここまでしていいのかと思ったんだけど……」

気まずいのか、紘一の声のトーンが低くなっていく。
俺は何したんだ、とハラハラしながら紘一を睨んだ。

「まぁ、明日になれば分かるよ。じゃあね!」

紘一は、そそくさと家がある方へ走って行った。
何をしたかまで言えよ……、と思ったが、紘一は変な事をするような奴ではない(他人に対して)。紘一に託そう。


その夜は、なかなか寝付けなかったことは言うまでもない。