コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: Link! コメ返します! ( No.22 )
- 日時: 2012/08/21 13:09
- 名前: 零華 (ID: BwWmaw9W)
依頼人の家はかなり小さな一軒家だった。
チャイムを鳴らすと、痩せ細った青年が出て来た。病気か、と疑うほどに顔は青白く、骨だけで出来ているような体つきをしている。
青年は三人に尋ねた。
「ギルドの人ですか?」
アズマが小さく頷く。
「こちらへどうぞ」
青年の後に続き中へ入った。
三人はリビングに案内され、テーブルの前に腰かけた。そこでお茶を出される。
「毒でも入ってそうだな」
ハルが、依頼人に失礼。と言ってアズマをたしなめ、カップを覗く。——なるほど、毒が入ってそうとゆうのもあながち冗談では無い。カップの中は紫と黒の混ざったどす黒い色で、毒が入ってそうと疑っても仕方ないだろう。
「毒とか入ってませんよね」
ハルが失礼だと思いながら改めて口に出す。「ハルさん美味しいですよ」
レナの発言にアズマが目を剥く。
「毒入ってないかかって話し今してたのに飲むかぁ!?」
「飲みますよー。美味しそうだったから……」
レナってちょっとずれてる?その一言はなんとか言わずに留めた。本人は気づいていない。それは良いことなのか悪い事なのか。
「すいませんねー。アイツバカですから生真面目に突っ込んじゃうんですよ」
ハルが笑いながら謝る。
「解った様な口を聞くなぁ!」
「ほらほらそうやって突っ込むからだよ……」
ニヤニヤしながら言うハルを、アズマが睨む。
覚えてろよ…、その呟きは聞き流され、ハルは青年の方を向いた。
「毒は入っていませんよ」
嫌、今ここで毒が入ってるって言われても困るな。この青年もなかなかバ……この先を言うのはよそう。
「依頼内容を正確に教えて」
ハルの声を聞き、青年が語り始めた。
青年の話は、父の敵を取って下さい
から始まった。
「僕の父は、国際魔法警察に所属していました」
国際魔法警察、全国の危険な魔導師達を取り締まる警察部隊のプロ。
この職業の死亡率が高い事が年々問題視されている。
なにしろ黒魔導師や、黒魔術と闘うため、危険が多い。
それでも精鋭部隊の国際魔法警察は様々な危険な人物を捕らえてきた。
「父はある人物を調べていました。戦争用AIを開発し、戦争をしている国に売り捌いているという黒い噂のある人物です」
「それがニコだな」
「そうです。父はギルドの人間を装って、ニコの依頼を請けました。そして、二度と帰ってくる事はありませんでした」
……アズマは気づいた。自分がその父親を知っている、いや、見たことがあるという事実に。
ニコの屋敷の地下牢には警察手帳があった。
奴はあのAIでこの青年の父親を返り討ちにしたのか……
アズマが一人で考えている間に、青年は話を進めていた。
「父はニコについてもう一つ情報を掴んでいました。ニコがボスではない」
「なんだって!?今なんて言った!?」
「ニコはボスじゃない。ニコを操る黒幕がいる」
クランクが知らない情報をこの青年が知っていた事に驚く。
「名前もまだ解っていないが、黒幕が居ることだけは確か。だから、ニコを尾行してその黒幕を暴いて欲しいんです」
「わかった」
アズマの即答に青年は驚いたようだ。
だが嬉しそうに笑った。
「お願いします!」
- Re: Link! コメ返します! ( No.23 )
- 日時: 2012/08/22 09:32
- 名前: 零華 (ID: BwWmaw9W)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=6600
「じゃあ俺たちはニコの屋敷に行ってくる」
そう青年に伝えて、三人で家の外に出た。
外はまだ日が高く昇っている。まだ午前中だろうと検討をつけ、ニコの屋敷前へワープした。
屋敷前に着いた。急いで辺りを見回し、隠れられる様な場所を探す。やがて、丁度よい樹を見つけ、陰に隠れた。
「なぁ、ニコは居ると思うか?」
「今から見ればいいでしょーが」
ハルの発言も最もだ。AIを飛ばし、家の付近を偵察するように命令する。
頭のなかに、ニコの屋敷が写り始めた。
『窓を探せ、窓を』
しばらくすると、大きめの窓が写される。
その中にニコはいるか、焦るアズマをよそにAIはゆっくりとしか進まない。
- Re: Link! コメ返します! ( No.24 )
- 日時: 2012/08/22 15:00
- 名前: 零華 (ID: BwWmaw9W)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode
段々と中が見えてきた。中にはニコとヒューマノイドが居る。
『奴が居る』
念話でハルとレナに話し掛け、レナが、見えてるから大丈夫です、と応答する。うん、見えてなかったら困る。
——と、ニコが窓から離れてしまった。
「あーっ……」
思わず落胆の声を上げるアズマだったが、運が尽きた訳では無かった。
再び念話でニコの屋敷が写し出され、その映像が急激に動きを見せる。めぐるましい速さで映像が動いて、思わず念話を切ってしまった。
「アズマ、念話を切らない方がいい」
ハルから忠告が飛び、改めて念話を使う。
今度はニコの屋敷の扉が見えてきた。そこには嬉しいおまけ付きだ。
『ニコか』
しかしさっきとは違う点があった。ニコは着替えていた。
私服ではなく黒いスーツ。
何処へ行くんだ、その疑問は誰もが持っていて、誰も答えを知り得なかった。
『どっかに行くぞ、追おう』
ハルの発言にアズマとレナも頷き、ニコを追って歩き始めた。
- Re: Link! コメ返します! ( No.25 )
- 日時: 2012/08/22 15:56
- 名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)
鑑定と宣伝が終わりました!
個人的な叫びを^^
レナちゃん可愛い!
はい。お邪魔しましたm(−−)m
- Re: Link! コメ返します! ( No.26 )
- 日時: 2012/08/23 09:24
- 名前: 十六夜 (ID: BwWmaw9W)
- 参照: 元零華です
>>25
秋桜さん有難うございます!
- Re: Link! 【コメ求む!】【テスト期間!オワタ!更新も】 ( No.27 )
- 日時: 2012/08/26 19:49
- 名前: 十六夜 (ID: BwWmaw9W)
- 参照: 元零華です
三人は奇妙なスパイのように陰から陰へと身を忍ばせながらニコを追う。
……何故探偵は尾行や偵察を続けられるのか謎だ。正直な所、二度とこんなことやりたくない。というのがアズマの感想だった。
何をやってんだ、と好奇心から送られる視線が痛い。
第一自分が尾行など地道な作業を楽しめる訳がなかった。
依頼は楽しんでこそ。とアズマは思っている。
『ニコが角を曲がった』
『うん……?』
気づけば青年の家が近くにある。
『まさか……あの青年が狙われた!?』
『その可能性は高い。ニコが、あの青年が情報を握っていると知ったら生かしてはおかないだろうな』
『そんな!あんなに美味しいお茶を出してくれる人なのに……ひどい』
何がひどいのか分からないレナの発言はスルーされ、話が続けられる。
『どうやってニコを阻止する……力押しか?』
『それは止めた方が良いな。万一殺しでもしてしまったら俺達の方が追い詰められるかも』
クランクは警察や政治家にもニコの手は及んでいると言った。この町一帯の警察はニコに飼い慣らされているかもしれない。
『あの青年の父親は警察だと言っていたよね、そのツテを使ってニコの事を報告するんじゃない?』
報告を揉み消されないようにするには警察の上層部に直接伝えた方が良いだろう。町の警察にいくら言ってもニコに揉み消されるだけだ。
『俺達は青年に黒幕の正体を教えれば良いって訳か』
アズマには単純な依頼の方がいい。物を壊すとか討伐だとか。
『路地に入ったぞ』
念のためと作動させておいたAIを路地の上空へ向かわせる。
- Re: Link! 【コメ求む!】【テスト期間!オワタ!更新も】 ( No.28 )
- 日時: 2012/08/26 20:35
- 名前: うえってぃ (ID: HpE/sQXo)
読みましたよー。
面白いです!
更新期待してますねー★
- Re: Link! 【コメ求む!】【テスト期間!オワタ!更新も】 ( No.29 )
- 日時: 2012/08/29 18:14
- 名前: 十六夜 (ID: BwWmaw9W)
- 参照: 元零華です
——いない。
「どうなってんだ」
アズマが念話を切った。ニコが居ないのなら念話を使う必要がない。
「何処に消えたんだろう……」
暗い路地に入り、注意して念入りに不特定の何かを探す。
「ここ、何かあるな」
アズマが指差す、その先には灰色一色のコンクリートの壁。
「別に何もないじゃないですか……」
レナが壁をなぞる、壁に明るい魔方陣が浮かび上がる。
「へえ」
ハルが驚く。何が書いてある、と急かすアズマを黙らせ、ハルは読み始めた。
「暗証番号を述べよ、だって」
「それなら分かる」
アズマが少し息を吸い、声を出す。
「2、5」
扉が開いた。
「本当に開くとは思わなかった」
本人も驚いている。
「成る程。ニコだから25か」
「ホントに当たるなんて凄いです!」
さて、と扉の中を振り返る。中は電球の一つも無く真っ暗。闇だけが広がっていた。
「待ってても無駄だな」
アズマが一歩踏み出した、途端に足を踏み外す。
「階段だ!」
思わず大声を出してしまい声を潜める。
流石に灯りをつける訳にはいかず、手掛かりは自分の感覚だけ。
『レナ、大丈夫か』
『あ、はい…………』
『ねえ、俺には聞かないの?』
暗くて見えないが雰囲気でハルが笑っているのが分かる。——あんにゃろう念話の傍受しやがったな……
念話はテレパシーの様な物だと言ってあるが、詳しい仕組みはこうだ。自分が言いたい事を頭の中で思う。それを微量の魔力に変換し飛ばす。受け手にその魔力が行けば頭の中で声が聞こえる。ブレスレット無しでも念話は出来るが、三人専用のチャンネルを作る為にブレスレットを着けている、と言うわけなのだが、ハルもブレスレットを着けているので傍受しようと思えばいくらでも出来る。
『ハル、大丈夫か』
『気持ち悪いから止めてよ』
『お前が言えって言ったんだろ!!』
『俺は質問しただけ』
『ハァ』
アズマが大きなため息をついたとき、目の前に明かりが見えた。