コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 超高性能アンドロイド、拾いました ( No.39 )
日時: 2012/10/06 16:48
名前: カルマ (ID: 4pBYKdI8)

⑳アリアちゃんが帰ってきました

「おはよ〜。朝だよ〜」
ふわふわした雰囲気の、かわいらしい声で起こされた。yuriaじゃない。yuriaの声はもっと平坦で、無機質で...その声よりももっと聞きなれた、幼馴染の...
「とりゃあっ!!!」
「ほわぁっ!!!」
ビシっ!
「いきなりチョップするなんてひどいよ〜」
涙目でおでこをさする茶髪の少女。人形のようにふわふわした髪だ。というか、彼女は全体的にふわふわしてる...いや、幽霊とかじゃなくてちょっと抜けている、天然な子なのだ。
「おはよう、京介」
「うん、おはよう」

コマンド
→身支度を整える(アリアを無視して)
 朝食を食べずに学校へ向かう(アリアを無視して)
 アリアに声をかけない

俺はコマンドの一番上を選択し、まずは朝食を食べることにした(アリアを無視して)アリアなど見なかったかのように、オレは茶の間に向かった。

『あ、おはようございます、京介さん』
「おはよう、yuria。」
『ご飯できてますよ。早く顔洗ってきてください。』
「わかってるって」
「いやいやいや、いやいやいや!?」
すごい勢いで襖があいて、必死な顔をした少女がでてきた。ちなみに、オレのうちは全体的に和風なつくりになっている。ボロボロではあるが、卓袱台が似合う部屋で
「そんなことどうでも良いよ!!ねぇ、アリアちゃんだよ!?しばらくあってないから忘れちゃった!?ねぇ、京介の幼馴染の九条アリアちゃんだよ!?」
『?そうなのですか?』
「いや、違うけど」
「違わないけど!?」
『ていうか、あなたどうやって入ってきたんですか?昨日の夜ちゃんと鍵を閉めたはずなのに』
「え?そりゃあピッキングで」
「不審者だ、警察に通報しよう」
「ちょっ、やめて!?あ、そうそう。お土産あ」
「昨日水野さんにももらったしいらない」
「ちょっ、せめて最後まで言わせて!」
「腹減った、yuria、ご飯食べよう」
『了解です』
「もう、なんなの!?ひどいよ、なんで無視するの!?」
「さっきちゃんと答え」
「さっきはさっき!」
「はぁ...お前こそなんだよ。勝手に人んちあがりこんで」
「お土産渡しにきたんだよ」
「そりゃどうも。ん」
オレは両手をアリアに突き出した。
「?」
「お土産よこせや」
「それが人に物を頼む態度!?ひどいよ京介、昔はそんなじゃなかったのに!」
「あれはお前を騙すための演技だったのさ...」
「なんですって!?」
『あの...』
「「何?」」
『もう8時15分過ぎましたよ』
「「(゜口゜)」」
((早く言ってよ!!))

8時15分を過ぎる、すなわち俺達は完璧に遅刻した。畜生、アリアのせいだ...
「雷華、琴羽、翔!おはよう!」
「あ、おはよう」
「お〜」
「お(ry」
ハイテンションなアリアと反対に琴羽はそっけなく挨拶を返した。あとの二人にいたってはアリアには目もくれていない。
「「って、アリアじゃん!!」」
挨拶したのがアリアだということに気づいてすらいなかった。アリアはやっと相手にしてもらえたのが嬉しいようで、パッと顔を輝かせた。
「どこ行ってたんだよ。なんか凄い久しぶりな気ぃすんだけど」
「私もだ。久しぶりだな、アリア」
「うん、久しぶり!」
「...嬉しそうだね。どんだけ相手にしなかったのさ、京介」
呆れたように笑う琴羽に、
「めんどくさいから」
と、返すと琴羽は、まぁ、わからないでもないけどねと、遠い目をした。多分、ていうか絶対に、雷華のことを考えたはずだ。
「そうだ、お土産あるんだよ!はい、これ」
「これは...」
((((お前、どこ行ってきたんだ...?))))
アリアが手渡してきたのは、この場にいた全員の心が一致してしまうような代物だった。何を渡されたかは、とても言葉にできないようなものだったので言わない...いえない。
「そういえば、その子は?転校生?」
アリアがyuriaの頭をなでながら言った。何故お前は初対面の人の髪を触りたがる。
『yuriaです。超高性能アンドロイドで、先日転入しました。今は京介さんのおうちでお世話になっています』
「そっかぁ、アンドロイドなんだ〜」
オレと琴羽は顔を見合わせて、目線だけで会話した。
((だから、なんで誰もツッコまないの?))
「アンドロイドなんだ〜...って、ふぇ!?アンドロイド!?」
「いや、遅っ!」
一瞬驚いたようにはねた後、
「アンドロイドなのに髪の毛ふわふわだぁ」
とふんわり笑ったアリアに、オレはもうツッコむ気になれなかった。アリア、お前はもっと疑問に思わなきゃいけないことがたくさんあるはずだぞ。
「朝の会話で大体わかると思うけど、私は九条アリア。京介の幼馴染なんだ〜。よろしくね」
『はい、よろしくお願いします』

こうして、オレのめんどくさい幼馴染が謎の家族旅行から帰ってきてしまったのだった。