コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.105 )
- 日時: 2012/10/15 20:43
- 名前: リア (ID: SsOklNqw)
「とりあえずだ、最後に遅刻した如月と如月!!お前ら放課後教室掃除をやれ!!分かったな!?拒否権はない!!以上!!」
「え?」
俺がそう声を漏らした時には既に遅かった。
俺たちが拒否する前に、拒否権はない、と先手を打たれてしまった。
そして、時は流れ現在。
放課後に、男2人で虚しく教室掃除をしているところだ。
「あ〜、なんでこうなっちまったんだろうな・・・。」
俺が思わず箒で埃を掃きながら呟くと、凛が床から顔を挙げて、ふっと笑って見せた。
「まぁ、しょうがないさ。遅刻したのに嘘を吐いたから悪かったんだよ。」
「何だよ、その言い草?嘘でも言っていい嘘だってあるんだぞ?」
「そうだとは思うけど、やっぱり嘘はよくないんだ。」
俺はその凛の言葉の後、声を掛けようとはせず、黙々と掃除をした。
多分、俺は凛に声を掛けてしまえば、何かが音を立てて崩れるような気がしたんだ。
凛は、一見普通の男子に見える。
だけど、俺は時々思う。
案外、凛みたいに普通に思える人間ほどもろくて、頼りのないところで生きているんではないか、と。
そんなところへ、俺みたいな奴がズカズカと踏み込んで行ってしまえば、あっという間に凛を支えてるものは崩れ去って、凛は・・・この世から無くなってしまうと思うんだ。
そんな未来、考えたくもない。
こんなに親しくなったのは、凛だけなんだ。
始めは強引な奴だし、無茶苦茶な奴だとも思った。
だけど、根はいい奴で、嘘は嫌いで友達思いで・・・。
数えだせばキリがないほど、凛にはいい所がたくさんあるんだ。
そんな凛を今、失ってしまったら俺はこれからどうしたらいいのか、分からなくなってしまう。
「なぁ、凛?」
何だか、そんなことを考えていたら凛に確かめたくなった。
「なんだ?てか、ちゃんと掃除しろよ。さっきから手が止まってるぞ?」
「あぁ。この質問をしたらやるよ。」
「質問?」
「お前はさ、ずっと俺の親友だよな?」
「は?何言ってんだ?」
「だから、お前はずっと俺の親友だよ・・・」
「当たり前じゃないか。ずっと親友だぜ?何いきなりそんなこと聞くんだよ?意味わかんないんだけど。」
「まぁ、あと1つ、質問に答えてくれよ。」
「まだあんのかよ?てか、何そんなシリアスな状況に直面した、みたいな神妙な面持ちになってんだよ?」
「そこは突っ込むなって。・・・絶対、居なくならないよな?」
「・・・・・・あぁ。」
凛が一瞬黙った時には冷や汗を掻いた。
でも、なんで一瞬戸惑ったんだ?
分からない。
凛・・・お前はどうして俺に肝心なことを教えてくれない?
どうしてお前は心の内を明かしてくれない?
どうして、見えない線があるかのように、”友達”という距離しか保てない?
今のままじゃ、親友じゃないんだ。
”親友”という言葉でつなぎとめているだけのただの友達なんだ。
親友だよな、って聞いた時点で俺たちは親友じゃないんだ。
あ、でもそうか。
俺だって心の内を明かしていない。
だから凛も俺を完全に信用できないんだ。