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Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.133 )
日時: 2012/11/15 20:08
名前: リア (ID: SsOklNqw)

そして何やかんやで夕食の時間となった。


「儷ちゃん、ご飯よー!」


階下から聞こえる母さんの声。

朝よりも随分と明るい口調だ。

あの”見知らぬ男性”と何か良い事があったに違いない。


「はぁー。」


こそこそと”あんなこと”をやって、何が嬉しいんだろうか?

いっそのこと、堂々としてほしいものだ。

俺はそんな気持ちを込めて、階段を下りながら溜め息を吐いた。

そして、リビングに入った。

ダイニングテーブルに綺麗に並べられているご馳走を見て、大変今日は母さんの気分が良いことが覗えた。

それを見て、また大きなため息を吐きそうになりながらも、必死に堪えて席に着いた。

父はいない。

なぜって?

そりゃあ、仕事だよ。

何の仕事をしてるのかって?

それは秘密さ。


「いただきます。」


俺は静かにそう言いながら、箸を持った。

そして、無言でご飯を食べ始めた。

食べ始めてわかったが、出来立てじゃない。

きっと見知らぬ男性に、このご馳走を出して、一緒に食べたに違いない。

なぜなら、母さんは一向に席に着こうとしないからだ。

詰まる所綺麗に並べられているものの、俺は残り物を食べてるわけだ。


「はぁー。」


あ!

と思った時にはもう遅かった。

時、既に遅し・・・というやつだな。


「どうしたの?そんなに大きな溜め息吐いて。」


母さんは俺の溜め息に気付いて、食器を洗いながら心配そうに俺の顔を覗き込む。

そういう行動すんなって。

母さんぶんなって。

俺がせっかく決心付けたところだってのによ、そういうことされちまうと、決心が鈍るだろ?

あんなことはしていても、あんたは俺の実の母親なんだよ・・・。


「いや、なんでもない。てか、今日はご馳走だな。」

「え?え?あ、そう!?な、なんかちょっと張り切ってみた・・・の!」


明らかに動揺を隠せないようだ。

言葉が途切れ途切れで、辛うじて何を言っているのかがわかる程度だ。

全く、あんたには嘘を吐き続けることは不可能なんだよ。

でも安心しろよな。もうすぐ俺が楽にしてやる。開放してやる。

いや、違うな。

それは俺自身に向けた言葉だな。


「ははは、笑えてくる。」

「本当に大丈夫?なんかさっきから変だよ?」

「大丈夫だって。昨日の授業中を思い出してたんだよ。思い出し笑いだ。」

「そっか。それならいいんだけど。」

「・・・。」


俺は何も言わなかった。

何も言いたくなかった。

4月になるまでは、母さんの方がたくさん溜め息を吐いてたのに、急に元気になって今では、俺の溜め息を心配している。

全く、人間理不尽なもんだ。

家族ってのも、これじゃあ作る意味ねーよな・・・。