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Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.148 )
日時: 2012/11/26 16:51
名前: リア (ID: fhP2fUVm)

「そうですよ。嘘です。私たちに気を遣ってくれたんです。だから・・・本音大会を予定通り開催します。」


さ、斉藤先輩、最近やけに積極的だな。

何かあったのか?

いや、違うな。彼女の中で何かが変化し始めたんだ。

SOSのサインか?

本当に不器用だな。


「て、副部長の斉藤先輩が言ってるんだし、開催ってことでいいんじゃね?」

「そうね。れーくんの言う通りだわ。」

「さっすが僕の儷様!」

「儷の言う通りだ。」

「新人、言うじゃないか〜!」

「凛くん、さっすが〜!」

「儷くんの言う通りやとうちも思うわ。」

「そういうわけで、斉藤先輩、決まりです。」


俺が皆から斉藤先輩へと向き直ると、斉藤先輩は感無量と言った感じで、瞳に涙をうっすら浮かべていた。


「・・・れーくん・・・皆さん、ありがとうございます。本当にごめんなさ・・・」


そこまで言って、斉藤先輩は我慢するのをやめたのか、泣き崩れた。

それを支えたのは安藤先輩だった。


「うっ、うっ、本当に・・・皆さん、ごめんなさい。私、迷惑ばかり、うっ、掛けてしまって・・・。それに私、本音大会が自分の為に作られたことも知ってて・・・。でも、皆さんに私の、過去が知られるのが怖、怖くて・・・本当にすみません・・・」

「いいんだよ、斉藤。謝らなくて。」

「安藤くん・・・?」

「今まで我慢してきたんだろ?一人で抱え込んでたんだろ?だったら、今泣きなよ。ほら、ここには斉藤の仲間がたくさんいるじゃないか。一人じゃない、そうだろ?」

「う、うん・・・」


そう言ってまた斉藤先輩は泣き始めた。

その光景を星研部員は微笑ましく見守っていたのだった。

結局、そのあと、本音大会はなくなってしまった。

だけど、斉藤先輩が過去という呪縛から解放されたのだと思うと、とても心の中が清々しかった。

そんなことを凛や美香と話しながら帰っていると、危うく、唯のことも忘れて帰りそうだった。


「・・・ちゃん!・・・兄ちゃん!・・・お兄ちゃん!!ちょっとお兄ちゃんてば!!」


俺がまさに改札を通りそうになっていた寸前で、唯に思い切りコートの袖口を捕まれ、引き戻された。


「なんだ、唯か。いきなり、袖を引っ張られたから誰かと思ったぞ?」

「何で私が説教されなきゃいけないのよ。お兄ちゃん、家に帰るのと反対方向の改札口を通ろうとしてたんだからね?」

「え?嘘!?」


俺は慌ててどこへ向かうのかを確認したところ、唯の言った通り、自宅と反対方向へ行こうとしていたみたいだ。


「うわ、本当だ!」

「全くも〜!本当に、兄がすみません!」


そう言って、美香や凛に向かって唯が頭をぺこぺこと下げ始めた。

すると、凛は笑顔で


「大丈夫大丈夫。駅員さんに言えば、これくらいのことどうとでもなるから!」


と言っていたが、美香は明らかに俺に殺気を向けながら笑顔で


「大丈夫よ。教えてくれて、ありがとう。」


と言っていた。

その様子を見て、安心したのか、唯が


「それじゃあ、先にホーム行ってるね!彼氏、待ってるから!」


と言って去って行ってしまった。

きっと、別れの危機は回避したのだろう。

彼女の本当の笑顔が見えた気がした。



第二話 完