コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.161 )
- 日時: 2012/12/13 20:33
- 名前: リア (ID: fhP2fUVm)
「お、おい!なんで俺を追いかけてくるんだよ!」
「え?」
そう言って、南は走るのをやめた。
俺もそれに続いて、走るのをやめた。
俺と南の距離はだいたい50メートルくらい。
大声で話して、声がようやく聞こえるくらいだ。
「なんで、お前は、俺を、追いかけて、来るんだ?」
「私、変だと、思ったから!」
「変って、どういうことだ?」
俺がそう言い終えると、南は困ったように首を傾げていた。
やがて、大声で話すより近くで話した方が早いでしょ、と言うように、再び南は俺に向かって走り出した。
俺は走って逃げることも可能だったのだが、結局その場で立ち止まって南が俺のところに来るのを待った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・。凛くんはさ」
「あぁ。なんだ?」
「凛くんは、儷くんのこと、親友だと思ってるよね?」
自分の顔が険しくなるのが分かる。
「あぁ。勿論だ。それがどうかしたか?」
すると、南は何もかもお見通しだよ、と言わんばかりにクスリと笑ってみせた。
「何が可笑しい?」
「ううん。嘘吐いてるなぁ、と思って。」
「誰が?」
「お互いに、ね。」
さらに自分の顔が険しくなるのが分かった。
「お互い?」
「そんなに怖い顔しないでよぉ。もっとラフに行こう!」
「いや、この状況でラフにはいけない。行っちゃいけない。」
「そっかぁ。それじゃあ、とりあえず、私から見た見解を述べさせてもらうと・・・2人ってさぁ、ただ一緒に居るだけだよね?」
俺は鈍器で頭を強く殴られたような衝撃を受けた。
一番恐れていた言葉だ。
この言葉こそ、俺が一番恐れていた言葉だ。
自分でもわかっていたはずなのに。
今のままじゃ真の親友じゃないことくらい分かったいたはずなのに。
なぜ、こんなにも胸が痛むんだよ・・・。
「言い方悪かったかなぁ。でも、こう言うしかないの。」
「・・・確かに」
「ん?」
「確かに南の言うとおりだよ。俺たちは今のままじゃ親友じゃない。」
「・・・気付いてたんだ。」
「あぁ。」
「でもね、私が思うに、凛くんはそのままでいればいいと思うよ?」
「俺は変わらなくていいと?」
「うん。十分優しいもん。」
南はふわりと微笑んだ。
さすが美少女。
ただの微笑みさえも眩しく見える。
「そ、そりゃどうも。」
少し照れながらそう言うと、向こうも急に恥ずかしくなってきたようだ。
右頬をぽりぽりと右手の人差し指で掻いて、顔を真っ赤にしている。
「だ、だって見ててわかるもん。凛くんはちゃんと儷くんと向き合おうとしているのに、儷くんは凛くんと一定の距離を置くようにしているような気がする。」
「お前、いつも寝てるのに、よくそんなに観察してられたな。」
「まあね。私の得意技、2つ目!」
「そっか。まぁ、俺も半分そう思うし、半分そうじゃないとも思う。でも、強ち南の見解は間違っていなくもないと思うぜ?」
「そっかぁ。まぁ、これから2人がどうしていくのは私が介入してどうとかって話じゃないから、あとは頑張って。それじゃあ、先に学校行ってるね!じゃあ!」
俺に背を向けて、片手を振る南を俺は呼び止めた。
今まで以上に強い声で。
「おい!南!」
すると、南はその言葉を待っていたかのように立ち止まった。
しかしこちらを振り向かない。
俺が異変を感じてもう一度呼びかけようと思った次の瞬間。
南がこちらを向いた。
いつもの笑った顔じゃなかった。
泣きながら笑った顔だった。