コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.168 )
- 日時: 2013/01/04 12:04
- 名前: リア (ID: 4mXaqJWJ)
そんなこんなで、席に座りながら色々考えていると、あっという間にSHRが終了した。
俺は終了したのと同時に席を立ちあがって、担任の方へと向かった。
すると、担任もこちらに気付いて、手招きをした。
「よし、少し話そうか。10分はあるな。よし、10分あれば十分。ここで話すのも難だから廊下で話すか」
そう言って担任は廊下へ向かって歩き出した。
俺もそれに続き、ようやく話せる体制が整った。
「んー、まず何から説明しようか」
「あの、先生は南をどこまで知ってるんですか?」
「ストレートに来るなぁ、如月」
「すいません。でも・・・」
「あぁ、分かってる。虐待だろ?」
「・・・はい」
何だか南がまだ虐待を受けているということが信じられなくて、幻を見ているような気分だ。
「随分と前から教師の中でも話題になってたよ」
「じゃあなぜ、止めれなかったんですか!?」
つい口調が強くなってしまう。
「落ち着け、如月。虐待を受けてる子ってのは、親が悪いんじゃない、自分が悪いと思い込んでいる。だから、自分が虐待を受けていることに気付かない」
「でも、肉体的には・・・」
「そうだ。傷を負っている。あいつ(南)も薄々気が付いてはいるはずさ」
「だったら」
「だけどなぜそれを俺やお前たちに言えないのか、分かるか?」
「・・・いいえ」
「そこだ。そこがお前が南を知ることのできない要因だ」
「どういうことですか?」
担任が腕を組みながら、眉を顰める。
「・・・嫌われたくないからだよ」
「親に、ですか?」
「そうだ」
「でも親は間違った対応を子供にしてるじゃないですか!」
「そうだ。だが、あいつ(南)にとってはたった1人の親なんだ。それを簡単には捨てられないだろう?」
・・・そうか。今、南の心情が理解できたよう気がする。
俺だってついこの間まで心の中で葛藤していたではないか。
母親は愛人を作って何食わぬ顔をしていた。
俺はそれを追い出すか追い出さないか迷っていたのだ。
しかし結局はたった1人の母親なんだ、と思い直し、父親に謝るように促そうと心に決めたのだった。まだ実行は出来てはいないが。
「そういうことだったのか・・・」
「理解できたか?」
「はい」
「そりゃあ、よかった」
そう言って担任は腕時計を見て、「おっと、もうすぐでチャイムが鳴るな」と呟いてから二カリと笑って見せた。
「まぁ、そういうわけだからお前の遅刻の罰は南を救う、ってことだ。これは教師でもなかなかできないことだからなぁ。しばらくの間はこの罰でこれからの遅刻の罰を前借しとけ!それじゃあな!」
そう言って生徒には散々走るな、と言っている廊下を担任は走って行った。
そして俺は心の中でつぶやいた。
相変わらず、滅茶苦茶な担任だぜ。