コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.173 )
- 日時: 2013/01/26 16:15
- 名前: リア (ID: 4mXaqJWJ)
俺はその日の授業はずっと上の空だったような気がする。
窓側の席だったので、ずっと空を見ていたのだ。
ノートとかは、意外と真面目な凛に見せてもらえばいいし、勉強が追い付かないときは、美香にでも教えてもらえば全然問題なかったからだ。
・・・それにしても、あの空は蒼いかったなぁ。
高く蒼く澄んでて、雲一つない快晴だった。
今までずっと寒かったので、ようやく春らしくなった、という感じだった。
「・・・てるの!?れーくんってば!」
「はい?」
「あー、もう!また上の空なんだから!だから、佳奈のことどうすんのって聞いてるの?なんか担任から聞いたんでしょ?」
「え?あ、おう」
そうだった。今は俺は星研部にいるんだった。
「で、どんな話を聞いてきたの?」
「あ、それ、俺も聞きたい」
先程まで本を読んでいた凛が本を閉じて、俺のほうまで寄ってきた。
「いや、そこまで大した話ではないんだが・・・」
「今はどんな話でもいいのよ!有力情報さえあればOKよ!」
「・・・虐待されてるらしい」
「・・・やっぱり」
「そうだったのか。これで確定だな。俺たちの予想ははずれてなかった」
「で、でも!それじゃあ、なんで先生たちは虐待を止めなかったの?」
「・・・どうやら、止めれなかったらしいんだ」
「どういうことだ?それ」
「自分が悪いと思い込んでるらしい。親は正しいと思っているようだ」
「何それ!どう考えたって親のほうがおかしいでしょ!」
「そうだけど、あれなんだってよ。虐待を受けている子供の大半は自分が悪いと思い込むらしい」
「・・・それじゃあ、南の思考はそこまで異常というわけではないんだな?」
「あぁ。だから、その思考をどうにかして帰ることができれば南を救うことができるんだが・・・」
「難しいだろうね、それは」
「美香!」
「だって、いつから虐待を受けてるのかは知らないけど、ずっと前からそう思い続けてたんなら、今までの自分の人生を否定されるようなもんでしょ?だったら、逆に発狂してしまう可能性だってあるわ」
「それもそうだな。篠原の言うとおりだ」
「でも、そしたらどうすればいいんだよ?」
「まだわからない」
「凛・・・」
「でも、方法がないというわけでもないだろうよ」
「凛くん!何かいい方法はあるの?」
「いや、成功するかどうかは分からないんだけど・・・やってみる価値はあるかも」
「それ、どんな方法なんだよ?」
「まぁ、簡単に言ったら南の家に突撃訪問だな」
「突撃訪問・・・?」
美香が首を傾げる。
「そうだ。いきなり南の家を突撃訪問するんだ。理由は何でもいい。最近元気がなかったから励ましにー、的なことを言って」
「ほう、それで?」
「それでだな、南に対する親の態度を見る」
「なるほど。それで南が親にどんな暴力を振るわれているのかが分かるな」
「そうだ。もし、あまりにも酷い扱いの様だったら警察を呼べばいい。表面上はにこにこしているようだったら、一度帰るふりをしてその場にとどまればいい。そうすれば犯行現場を見られる」
「なるほど。つまり、どっちにしろ警察に頼るってわけだな」
「あぁ。状況証拠も十分だし、現行犯で逮捕までとはいかないかもしれないが連行はされるだろうな」
「いい案だよ、凛。早速それで行こうじゃないか」
「おう」
「それじゃあ、日程はどうする?」
「そうだな、日程は・・・って、篠原。どうしたんだ?」
「いや、佳奈がもしそんな親でも好きだったら、そんなことをされたら嫌がるんじゃないかなーって思って。私が佳奈の立場ならそんな形で親の虐待が止められるのは嫌だよ」
それを聞いて俺は固まってしまった。
そうだった。南は親が好きなのだ。
それを、俺たちが勝手にかわいそう、などという私情で彼女と彼女の親を離していいのだろうか?
でも、離さないと死に追いやられる可能性だってある。
・・・一体、おれはどうしたらいいんだ?