コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.179 )
- 日時: 2013/03/25 09:14
- 名前: リア (ID: 4mXaqJWJ)
「南!待て!何でお前は逃げるんだよ!逃げる必要性なんて全くないだろ!?」
「だって・・・怖いんだもん・・・」
俺はその時足を止めた。
すると、俺を後ろから追いかけていた神谷先輩も足を止め、南も俺たちと少し距離を取って、足を止めた。
だが、南は振り返ろうとはしなかった。
「儷くん、これは一体何事なんだ?」
神谷先輩が不思議そうに顔を傾ける。
既に俺を追いかけてきた理由を忘れてしまったようだ。
「えーっと、これはですね、その南の家庭事情に関する話なんですよ・・・」
俺は南を気遣いながら、神谷先輩にそう言うと、
「あーなるほど、虐待のことだな!」
と自信満々に答えた。
さっすが、神谷先輩!部長なだけあって、何でも知ってるんですね!・・・じゃねーよ!
「何で知ってるんですか!?」
俺が勢い余ってそう聞くと、神谷先輩は不思議そうにしながら、
「んーなんとなく?」
と答えた。
俺は唖然とした表情のまま動けないでいると、南がゆっくりと振り返った。
「さっすが、神谷先輩。何もかもお見通しなんですね」
ブラック南来たぁ!!
「君は本当に南なのか?悪魔に憑りつかれたんじゃないか?」
そう言って、南のほうまで歩み寄り、南の頬を抓った。
「痛い、痛いってば!!」
「ほう、これは本物であるというのか」
神谷先輩は南の頬を抓るのをやめ、俺の隣の位置まで下がった。
「馬鹿じゃないの?これが私の本性よ」
「そうか。まぁ、前あら裏はあるだろうな、とは思っていたが。こういう形で現れるはなぁ」
神谷先輩、あなたの堪が当たりすぎていて怖いです。
先輩こそ一体何者なんですか?
「まぁ、その話は置いといたとして。儷くん、私になぜ逃げるのかって聞いたよね?」
「あ?あぁ」
「理由は単純よ。・・・怖いから。儷くんたちが言ってた作戦を実行することによって、親に嫌われるのが怖い。あなたたちまで巻き込んで、あなたたちから嫌われるのが怖い。世間からの目が怖い。ただ、それだけよ」
「・・・大丈夫だ、南」
驚いた。俺が自分の口から発したようだった。
「儷、くん?」
「あ、いや、そうじゃなくって、ん?なにがそうじゃなくってなんだ?まぁ、いいや。そこは置いといて。とにかくだ。誰もお前のことを嫌いになったりしない!あの作戦は別にお前に”親なんて大っ嫌い!”なんて言わせようとは思ってない」
「え?そうなの?」
「あぁ、そうさ。ただ、自分がどれだけ親を好きか、どこが好きなのか、ただそれだけを伝えるだけでいいんだ」
「・・・そうだったの」
「な?だから、作戦を実行しようぜ?」
「・・・うん」
「私もサポートするよ」
「「先輩!」」
「まぁ、仮にも部長だし、先輩なわけだしな」
「神谷先輩ありがとうございます!もう、あなた様は先輩を超越して神ですよ!GODですよ!」
「儷くん、それは褒め過ぎだよ」
そう言って、照れたように笑う神谷先輩、美しい!
「まぁ、そういうわけだから、南。この作戦は明日実行だ」
「うん」
「だから、明日の部活の時間には昇降口で待っとけ。そこに皆も行くようにするから」
「わかった。本当に、ありがとう」
そう言って南は膝と頭がくっつくんじゃないか、というくらいの礼をして駆けるように俺たちの所を後にした。
その時の南の背中は、心なしか喜んでいるように見えた。