コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.190 )
日時: 2013/04/22 21:29
名前: リア (ID: exZtdiuL)

屋上に着いた俺たちは、簡単に見つからないようなくぼみに、3人体を寄せ合った。

「それで、話の続きとはなんですか?」

西条が興味津々、と言った目で俺を見る。

「えーっと、とりあえず、南と母親に自分の心の内を全て明かしてもらおうと思う」
「え!?そんなリスクの高い事・・・!」
「仕方ない。嫌われてるにせよ、はっきり言われたほうが、俺は気持ちの整理がつく」

凛が真面目に回答した。

「でも・・・!」
「まあまあ、安心しなって」
「儷くん・・・」
「もし、南の母親があいつを殴りそうになったら、待機してる俺たちがすぐに止めにかかるから」
「そうですか・・・。ちなみにそれはいつ実行されるんですか?」
「今日だけど?」
「きょ、今日!?何でこんな何もない日に?」
「んー、なんでだろ?凛、いい理由、思いつかねーか?」
「いーや、さっぱりだ」
「後付けの理由を聞いてるんじゃありません!・・・つまり、特に理由はないと」
「まぁ、強いて言うなら、早く南には元気になってほしいしな」
「なるほど」
「おぉ〜!西条が納得した」
「凛くん、何ですかその言い草は〜?まるで私が物分り悪い人みたいじゃないですか!」
「そ、そんなに怒んないでよ〜!俺、怒られんのそこまで慣れてないの」
「そうですか〜?よく儷くんと一緒に遅刻して、担任に怒られてるじゃないですか〜」
「あ、あれは別というかなんというか・・・」

凛が困ったような顔をしながら俺の方をチラチラと見てくる。
仕方がない。助け船を出してやるか。

「まあ、そんなことどうでもいいじゃないか。西条」
「・・・それもそうですね」
「ふう。助かった」
「凛くん、何か言いましたか?」
「い、いえなんでもありません」
「そうですか」

そう言って、俺の方に向き直る西条は誰かに似てきたような気がした。
・・・もしや、斉藤先輩か?
可愛らしい顔で微笑み、丁寧な口調で話しながらもいつも冷たい目線で人を上から睨みつけ、いたぶることを趣味とするような、性格が曲がりに曲がったあの人に似てきたというのか!?
そんな!!まだ斉藤先輩と西条は面識はほとんどないというのに・・・!まぁ、人間、似た者はいるということだな。
あー、そういえば、こんな言葉があったっけ?
『類は友を呼ぶ』
・・・やめよう。今、想像してしまったこと、すべて忘れよう。すべて現実になってしまいそうで怖いから。

「どうしたんですか?儷くん、顔が青いですよ?」
「え?嘘?あ、えーっと、うん、大したことないよ。大したことない。あはは」
「なんか様子がおかしいですけど、放って置きましょう」
「あ、そこはあっさりひくんだね」
「まるで誰かと比べてるかのような口ぶりですね」
「あ、いや、すっごく美人な先輩と性格似てるなー、と思って」
「美人な先輩と一緒・・・!?もしや、それは斉藤先輩殿のことではありませんか?」
「な、なぜに知ってるんだ?」
「もー、決まってるじゃないですか!私がこの世で一番尊敬している方です!誰よりも強く生き抜く女性・・・!あー、なんと美しい!」

おー、そういうことだったのか。
そりゃあ、憧れてたらその先輩のマネくらいするわな。
あ、でもナイフとかだけは持ってないでね・・・。

「そ、それはよかった。ま、とにかくだな今日、俺たちの部活で南の付き添いをする。それで、お前も南について行ってあげてほしい。一応、南にもその家庭事情、話してんだよな?」
「はい」
「そっか。それじゃあ、一緒に来てくれるか?俺たちと一緒に」
「えぇ、もちろんです。佳奈ちゃんのためであるのと同時に、私の母でもありますから。助けないわけにいかないじゃありませんか」

そう言って、西条は少し寂しそうに笑って見せた。