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Re: あの星を探しに。(ラノベ風) 参照1000突破\(゜ロ\)( ( No.205 )
日時: 2013/05/05 11:04
名前: 華憐 (ID: exZtdiuL)

「ちょっと、れーくん!?どうして大声張り上げてるのよ!状況分かってる?佳奈のお母さんに気付かれちゃいけないのよ!?」

「お、おう。それは十分承知してるはずなんだけど…」

「まぁ、いいわ。次、大声張り上げたらとび蹴りするからね!」


そう言って、去って行った美香。

美香のとび蹴り…。

噂で聞いたことがある。

”あの世送りのとび蹴り”と男子の間では噂されている。

つまり、相当痛いということだ。

ある男子曰く、あれをされたときは本当に走馬灯が見えた、とか。


「おっかねー」

「何がです?」

「いや、なんでもない」


そう言って、俺は亮から目を逸らした。

すると、いきなり無線機から耳を劈く様な声が聞こえた。


『キャー!何やってるの!ダメよ!』

「西条の声だ。神谷先輩、どうします?」

「そうだな。私と奈々、それに南川は私と来い。その他はアパートの裏手に回れ!もしかすると、人が落ちてくるかもしれない!あ、それとこれ!」


そう言って俺に渡された無線機。

神谷先輩がずっと握っていた所為か、仄かに温かい。


「私たちは現場に行くから、無線機はもう必要ないからな。儷くんに渡しておく」

「わかりました。それじゃあ、皆、行こうぜ」


俺たちは、アパートの裏手へとまわり、神谷先輩率いる2年生組は南の部屋へと向かった。


『バタン。おい、南!西条!大丈夫か?』


無線機から神谷先輩の声が聞こえる。


『先輩!佳奈ちゃんのお母さんが!』

『なんだ?……何をしてるんだ!今すぐ窓を閉めろ!』

『煩い煩い煩い!もう皆嫌い。世界を愛せない』


狂ったように泣き叫ぶ南の母親の声がする。

その様子は地上から見ている俺たちからでも確認することができた。


「何か、ヤバくねーか?」


凛が南の母親が腰かけている窓の方を見上げながらそう言う。


「ヤバいな。何か受け止めるもの、用意した方がいいよな?」

「そうだな」

「何かあるか?」

「ビニールシートとかどうだ?」

「どう使うんだ?」

「皆で広げて、トランポリンのようにするんだ。どうかな?」

「よし、それにしよう。そういえば、さっき工事現場があったよな?」

「あぁ、そういえば」

「そこからビニールシートを少し拝借しよう」

「おう。それじゃあ俺が行ってくるよ」

「頼む、凛」

「大丈夫だ。安心しろって」


凛はそう言い残して、工事現場へと向かっていった。


よし、あとは、時間の問題だな。

神谷先輩たちがどれだけ時間稼ぎをすることが出来るか…。

出来るだけこの状態を長く保ってくれ!


そう願いながらただただ凛の帰りを俺たちは待った。