コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) 参照1000突破\(゜ロ\)( ( No.210 )
- 日時: 2013/05/06 09:12
- 名前: リア (ID: exZtdiuL)
今回は佳奈ちゃんの目線で締めくくろうと思います!
皆が病院を退室して、残された私と私のお母さん。
毎日見舞いには来ていたが、目を覚ましたのは今日の朝だったので、初めてお母さんと二人きりになった。
う…。気まずい。
「佳奈?」
「は、はい!」
「どうして敬語なのよ」
そう言ってほほ笑むお母さん。
昔の優しいお母さんに戻ったようだ。
「だって、今までは敬語じゃないと…」
「大丈夫よ。もう、そんなことはしないわ。それに…今までごめんね」
そう言ってお母さんは隣に座っている私を強く抱きしめた。
私は暫く状況が理解できずに、固まっていたが数秒後にようやく理解すると、恐る恐るお母さんの背に手を回した。
「ごめんね。お母さん、自分のことしか見えてなかったの。本当にごめんね。佳奈にそんなに迷惑をかけてるとは思っていなかったの。ごめ…」
「お母さん」
私はお母さんの声を断つように強くそう呼んだ。
すると、少し驚いたような顔をしたお母さん。
私はそれに構わず続ける。
「私はね、お母さんに謝ってほしいわけじゃないの。ただ、優しいお母さんに戻ってほしかっただけ。だから謝るのは違うよ」
「佳奈…」
私がそう言い終えると、お母さんは私の名前を一度呼ぶと、大声を出して泣き始めた。
大人が心の底から泣いている姿を私は今日初めて見た。
そして生涯そんな日に出会うことはないだろう。
そう思っていると、だんだん鳴き声が収まってきた。
「お母さん?」
「もう大丈夫よ」
「よかった。それじゃあ、私は…」
「佳奈」
「ん?何?」
「実はもう1つ伝えなくちゃいけないことがあって…」
「ん?どうしたの?」
「西条真美ちゃん、いるでしょ?」
「あ、うん」
「その子を孤児院から引き取ろうと思うの」
私は大きく目を見開いた。
その人はずっと気にかけてた存在。
私のお母さんを元に戻すのに協力してくれたのに、私からは何もしてあげられないと悔やんでいた。
それが私にとっても真美ちゃんにとっても、一番良い形でお礼をすることができるのだ。
「ほ、本当!?」
「ええ。本当よ。ここで嘘を吐いても何にもならないでしょ」
そう言ってほほ笑むお母さんに勢いよく迫る私。
「いつ!?」
「えーっと、今は4月の終りだから来月くらい、かしら」
「それは真美ちゃんに言った!?」
「ま、まだよ…?」
「わかった。それじゃあ、明日、私の口から伝えるね!それじゃあ、バイバイ!」
「そうね。バイバイ」
こうして私は慌ただしく病室を後にしたのだった。
—後日—
登校してすぐに真美ちゃんの姿を見つけた。
「真美ちゃーん!」
私は笑顔を浮かべながら、真美ちゃんの所まで走って行った。
「佳奈ちゃん!お母さんの具合はどう?」
真美ちゃんは人懐っこい笑顔を浮かべながら私のお母さんの心配をしてくれた。
「もうすっごく良いよぉ〜!」
それが嬉しくて嬉しくて…。
「よかったー。それで、何か私に用があったの?」
「そうなのぉ〜!なんだと思う?」
「わ、わかんないなぁ。てか、顔近いよ!」
「え?あ、ごめん」
私は無意識のうちに真美ちゃんに近づけていた顔を退けた。
「えーっとね、実は…真美ちゃんも私の家族になるのです!」
「そっか!…って、えぇ!?」
真美ちゃんは心底驚いたように廊下中に響き渡るような大声を出した。
上級生に何事!?というような目で見られて縮こまる真美ちゃん。
可愛いなぁ〜。
「だから、私の家族になるの!」
「で、でも…」
「ちなみにそれ、明日からだからね!」
私はそう言って興奮のあまり飛び跳ねた。
すると、誰かにぶつかった。
「あ、すみません」
私は見上げながら謝ると、それは儷くんだった。
「儷くん!」
儷くんは少し驚いたような顔をしたけれど、すぐに笑顔に戻って
「よぉ、南。おはよ」
と言って、立ち去って行った。
相変わらず儷くんはカッコいい!
「佳奈ちゃん!佳奈ちゃん!」
「え、う、何?」
「顔真っ赤だよ?」
「え!?嘘!?」
そう言って自分の頬に触ってみる。
熱い…!!
「もしかしてもしかして…如月儷くんに恋しちゃった!?」
「し、してないよぉ〜!」
「だってだって、佳奈ちゃんにとったら、王子様みたいなものだもんね!」
「だーかーらー!!」
「照れてる佳奈ちゃん可愛い!そういうわけで、明日からだっけ?家族になるんだよね!よろしくね!…佳奈!」
一間あけてから私の名前を呼んだ真美ちゃん。
その一間からは色々な思いが伝わってくる。
私はこれからは逃げちゃいけない。向き合わなきゃ!
そんな思いを胸に私は呼ぶ。
「真美!」
第三話 完