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Re: あの星を探しに。 南佳奈(感動)編、ついに完結! ( No.213 )
日時: 2013/05/06 15:58
名前: 華憐 (ID: exZtdiuL)

結局如月儷家のお母さんや家族がどうなってしまったのかをまだ書いていなかったと思うので、書きたいと思います。


【第二話 サブストーリー】


あの後、俺は唯とは少し離れて電車に乗った。
なぜかって?
そんなの決まってるだろ。
唯が彼氏と仲好さそうにしてるからだ。

いやぁー、それにしてもさすが唯の選んだ彼氏だ。
カッコイイし、笑顔も爽やかだ。
うんうん、言うことなし。
これなら父さんも母さんも安心するよな!

…あ、母さんに俺の思ってること伝えねーとなぁ。

そう思うと、気分が沈んでいく。
そして無意識のうちに漏れる溜め息。

「はぁ」

「どうかなさったんですか?」

「あ、ううん、なんでもないよ…って、唯の彼氏さん!?」

”唯”と名前が出た途端に、不機嫌になる彼氏。

いやー、愛されてるねー、唯。

って、そんな場合じゃねー!

なんか俺、勘違いされてねーか?

「やっぱり、お前、ずっと唯のこと見てただろ?ストーカーか?」

電車の中だから気を遣ってか、声を低くして、俺に詰め寄る唯の彼氏さん。

知ってる。
俺、こういうの知ってるよ?
嫉妬って言うんでしょ?
でも、嫉妬対象、間違ってる!

「いや、違うって」

「言い訳しても無駄だ。次の駅で降りて交番に行くぞ」

「ちょ、ちょっと待て!唯の彼氏さん、勘違いしてるよ?」

「うっせー。降りろ」

そう言って、ちょうどいいタイミングで俺の後ろにあった扉が開き、無理矢理そこから下車させられた。

え?この人中学生だよね?
なんか俺、押されてないか?

そんなことを思いつつもちらりと駅名を見る。
すると、俺の最寄駅をゆうに越していた。


「えぇー!?俺、瀬世良駅が最寄駅なのに!!3駅も乗り過ごしてるじゃん!」

「やっぱ、お前、唯をストーカーしようと…」

「してないしてない!だから、俺、唯の兄だって!」

「…え?」

そう言って、俺の顔を覗き込む彼氏さん。
そしてしばらくしてから

「…似てる」

とぽつりと呟くと、

「失礼しました!その、つい唯は可愛いものだから色々な男子に狙われてて…」

と、ほぼのろけ話のような言い訳を散々聞かされた。
そして、それを聞き終えた俺は、

「そろそろ帰っていいか?」

と言って、立ち上がり、唯の彼氏に背を向けた。
そして、そのまま俺はそこから立ち去り、反対側のホームへ行って、瀬世良駅で降りた。

その間ずっと考えていたのだが、どうして唯は俺に声を掛けてくれなかったのだろうか、と…。
いや、薄々気が付いてるよ。

多分、彼氏さんがこう言ったんだよ。

『唯、お前のことをずっと見てる奴がいる。そいつをお前と一緒に下ろすわけにはいかない。先に降りろ』

とかなんとか。
そして唯はその言葉に嬉しさ半分面白さ十分でその話に乗ったんだ!
それで見事に俺はハメられた!

くっそ。
そこまでも性格の悪い奴め。
学校中に兄をいじめる妹、という噂を流してやろうか?
いや、待て。
それでは、俺が惨めな気持ちになるのでは?

そんなことを考えているうちに、家に着いてしまった。
腹立たしさと気まずさで、扉に手をなかなかかけられない。

そんな折、父さんが帰ってきた。


「どうした?儷」

「父さん」

「こんな遅くまで何を…。あ、あれか。部活か?」

「うん、そうだよ。今日も綺麗な星が一杯だったよ」

「そうか」


そう言って、先に中に入って行く父さん。

俺もそれに続いて家に入る。


「ただいま」

「ただいまー」


父さんの声を聴いて、母さんと唯がそれぞれいた場所から玄関まで迎えにやって来る。


「おかえりなさい」

「おかえりー」


唯が笑いを堪えながら出迎えているのは見ていなかったことにしよう。


「今日の飯はなんだ?」

「一人焼肉よ」

「どうしたんだ?今日は何の記念日でもないはずだが?」

「…少し大事な話があるの」

「そうか」


少し顔を曇らせた母さんに、ものともしない父さん。

これは少し冷たすぎるんじゃないか、と思った。

だが、話の内容は決まったわけじゃないので、何とも言えない。
取り敢えず、今は気付かないふりを通すしかない。

「いやー、今日はいい日だったな!」

「本当!お兄ちゃんの間抜け面も見れたしね!」

「やっぱ、お前の仕業だったのか!?」

「さぁ、どうでしょー?」


そう言って、二階へあがって行く唯。
俺はそれを慌てて追いかける。
そして、それをほほえましそうに見る母さん。

…一体、この数時間後に俺たちはどうなってるんだろう?

そんな不安を隠すように、俺は階段を上がって行った。