コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。 「麗しい先輩の物語」ついに始動! ( No.221 )
- 日時: 2013/05/12 17:40
- 名前: 華憐 (ID: exZtdiuL)
コツン
窓に小石がぶつかる音で、私は”君”の仕業だとすぐにわかる。
あの日だってそうだった。
コツン
そう音がしたので、私は窓を開けて、大きく手を振った。
「俊!」
「やあ、美紀。夏休みの課題で少し、分からないところがあってね。美紀に聞こうと思って」
「電話してくれればいいのに…」
「え?僕、君に会いたかったから」
「っな!」
私は声にならない声をあげながら、口をパクパクさせた。
多分、私の顔は今、真っ赤だろう。
「どうしたの?」
しかし、そんな私の反応に悪びれもなく首を傾げる美少年。
彼の名は、八神俊(やがみしゅん)。私の恋人だ。
付き合って、もう1年になる。
「な、なんでもない。早く家に入って。扉、開いてるから」
「うん。分かった」
そう言って、俊は玄関の扉を開けた。
私はそれと同時に窓を閉めて、少し生ぬるくなってしまった部屋を冷房の設定を26度にまで下げて、冷やすことにした。
そして、私が窓を閉めてから数十秒後。
彼が私の部屋の扉を叩いた。
コンコン
「どうぞ」
「やあ、久しぶり」
「つい2日前にデートで会ったじゃない」
「そうだったっけ?でも、2日も会えてなかったなんて、本当に寂しかったんだ」
「そ、そう」
私はそう言って、俊から目を逸らした。
だ、だって、そんな甘々な言葉を掛けられたらどう反応したらいいか分からないじゃない!
「うん、やっぱり美紀は可愛いよねー。本当、ずっと抱きしめてたい」
俊はそう言うや否や、私の傍までやって来ると、力一杯抱きしめてきた。
私はされるがままになっていると、急に俊が私から体を話して、耳元で囁いた。
「抵抗しないの?」
「え…?」
「抵抗しなかったら、僕、美紀のこと襲っちゃうかもよ?」
「そ、それは困る!」
私はそう言うと、手を俊肩に置いて、引き離すように、彼と私の体の間にスペースを作った。
「なんか、その言い方傷つくんだけど?」
「うっ。ご、ごめんなさい」
「それだけじゃ足りないなぁ〜」
「じゃ、じゃあ、何すればいい?」
「そうだな〜、美紀から僕に2回、キスをすること」
「そ、そんなに!?」
「本当は3回にしようと思ってたんだけど、それじゃあ美紀が可哀想だと思ってね」
「もしや、始めからこうなることを知ってて…?」
「当り前さ〜!それに夏休みの課題で分からなかったってのも嘘だよ〜!ここに来るための口実さ」
「なんてことだ…!私、超危険じゃん!」
「そうだよ〜!オオカミと1つ屋根の下なんだよ〜?美紀、どうする?」
「どうもこうもないわよ!」
「あ、怒った」
「そりゃあ、怒るでしょ!こっちは身の危険を感じてるってのに!」
「ごめんって〜!そんなつもりはないから!そのうち、その日がやって来るかもだけど…?」
最後の方は口籠っていて何を言っているのかは分からなかった。
だが、聞き返してはまた面倒なことになりそうなので、わざと聞き返さなかった。
「そ、それじゃあ、キスの奴も免除?」
「どうしてそうなるの?そんな訳ないでしょ?いっつも僕からキスしてるんじゃ、つまらないしね。たまにはそういうのもいいでしょ?」
意地悪だ。
俊って意外とSなんだよね。ほんわか天然、みたいな顔してるのに。
「あ、なんか僕の悪口考えたでしょ?」
「な、何にも?」
「詰まるところが怪しいね。それじゃあ、罰は僕からのキス攻撃だね」
「嘘!?そんなに今悪い事してなかったでしょ?」
「僕にとっては極刑だよ〜!そんなわけで、5分間声を出さずに僕のディープキスに耐えれたらキス2回を免除してあげる。まぁ、無理だと思うけどね」
「そ、そんな…!」
「そういうわけだから、10秒後に始めるよ?9、8、7…」
そう言って、カウントし始める俊。
残り5秒を切った時、私は顎をくいっと上に向けさせられた。
そして、カウントが0になった瞬間、私の唇は塞がれた。