コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.30 )
- 日時: 2012/09/08 17:28
- 名前: リア (ID: SsOklNqw)
「え?あ、え?さ、斉藤先輩?」
俺は驚きのあまりそれしか言えず、南もどこか遠くを見ているようにぼーっとしている。
俺に抱きついている斉藤先輩は顔を伏せており、どんな表情をしているのかが分からない。
「斉藤先輩?」
俺はどうしたんだろうか、と不安になりながらそう声を掛けると、斉藤先輩はいきなり顔を上げた。
斉藤先輩の頬には涙が伝った跡があり、瞳もまだ潤んでいた。
「え?先輩!?」
俺が慌ててそう言いながら、先輩の涙を拭きとった。
すると、先輩は俺ににっこりと笑いかけながら、予想外の言葉を発した。
「れーくん、ありがとう。」
「・・・は?」
「だから、ありがとう、と言っているのです。」
「いや、それは分かるんですけど、どうして急にお礼なんて・・・」
「だって、佳奈ちゃんを私に渡してくれたじゃないですか。」
「・・・は?」
「実は私、美紀ちゃんの次に佳奈ちゃんが好きだったのですよ。だけど、佳奈ちゃんはいつもどこか違うところを見ているようで、話しかけづらかったんです。だけど、今、れーくんが私に佳奈ちゃんを渡してくれたおかげで、たくさん話をできるじゃないですか—————!!もう、れーくんに感謝感激です!!本当に、ありがとうございました!!」
「・・・え?」
理解不能。
先輩はつまり・・・南と話すチャンスを俺がくれたと思い、涙を流すほどまに嬉しかったということか・・・?
あれ?俺、理解できてんじゃん。理解可だな。
「まぁ、そういうわけですので、今からは佳奈ちゃんと美紀ちゃんと私とのガールズトークが展開されるのです!!だから、男子の者どもは邪魔をしないでくださいね?邪魔をしたら・・・カッターで刺しますよ?」
先輩、物騒なことを笑顔で言わないでください。
背筋が凍るほど、ぞくっとします!!
「わ、分かりました。」
「そう、れーくんはやっぱり物分かりがいいですね。それじゃあ、佳奈ちゃん、美紀ちゃん、ガールズトークを始めましょう。奥に机がありますから、そこでやりましょうねー?」
「は〜い。」
「私も行かないといけないのか?」
「もちろんよ、美紀ちゃん。佳奈ちゃんがこんなに乗り気なんですから!!」
「んー、南は関係ない気もするが・・・」
「まぁ、とにかく行きましょう!!きっと美紀ちゃんも楽しくなりますって!!」
「そ、そうか?」
「そうですとも!!さ、ほら、早く!!」
斉藤先輩は渋る神谷先輩とさっきまで放心状態だったが、今はかなり乗り気の南を引き連れて奥の方へと消えて行った。
どうやら、奥の方にはカーテンが掛かっているらしい。
俺が立っている場所からでは、カーテンがちょうど妨げになり、どういう体系で話しているのかがよく見えない。
「・・・俺は一応、助かったってことでいいのか?凛。」
「あぁ、そうとってもいいと思う。」
「そっか。」
俺は凛はそう言うのを聞いて、ほーっと息を付いた。
すると、凛の後ろからすすり泣く声が聞こえた。
「「だ、誰だ!?」」
俺と凛が一斉に後ろを向くと、そこには亮が居た。
どうやら、凛の体に隠れて、見えなかったようだ。
「れ、儷様〜〜〜!!本当にご無事でよかった〜!!」
亮はそう言いながら、俺に抱きついてきた。
俺はそれを宥めるように、亮の頭を撫でた。
「本当に、僕、儷様が死んじゃうんじゃないかって・・・」
「俺は死なねーよ。こんなところじゃな。」
「そ、そうですよね。儷様が死んだら、僕は誰に勉強を教えてもらえばいいか分からなくなっちゃいますよね。よかった。儷様が生きてて。勉強を教えてもらえる!!」
「・・・なんか、喜んでいるところが違う気もするが。まぁ、そこは気にしないでおこう。一応心配はしてくれたようだしな。」
「はい!!」
そう言って、亮はまた嬉しそうに笑った。
そして、やっと一息つける・・・と思ったところに、開け放たれた扉から勢いよく女性が室内に入ってきた。
「皆、いい知らせと悪い知らせがあるの!!」