コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.41 )
- 日時: 2012/09/12 23:26
- 名前: リア (ID: SsOklNqw)
「あいつ、どこに行ったんだよ!!」
俺のそんな声が廊下中に響き渡る。
しかし、誰も現れる気配はない。
「はぁー、ちょいと制服だけじゃ寒いな。」
俺はそう言いながら、自分の右手で自分の左手を温めるように握る。
やはり、まだ春先だ。
春と言えども冬が明けたばかりなので、夜になるにつれ、少々制服のブレザーだけでは肌寒くなってくる。
「ったく、こんな中外に行くバカいない・・・」
と、俺がつぶやきかけた瞬間脳裏によぎった名前があった。
「いや、美香なら外でも行きそうだ。それに、校内中探しまわったが居ないようだし、行ってみるか。」
俺はそう言いながら、靴箱へと急いだ。
そして、上履きから運動靴に履き替え、一気にグラウンドへ向かった。
しかし・・・
「やっぱ、こんなとこには居ないよなー。運動系の部活が使用中だしよ。」
美香はいなかった。
となると、残りは・・・・高台だ。
高台は緩やかな丘になっていて、丘の頂上には立派な梅の木がある。
もしかすると、そこにいるのかもしれない。
俺は、そう思い、今度は反対方向の高台へ走り始めた。
走って数秒後、高台に辿り着いた。
「おーい、美香ー?」
俺は声を張り上げながらそう言うが、勿論返事はない。
それでも俺は諦めず、ゆるやかな坂を上り始めた。
上り始めて数秒後、梅の木に辿り着いた。
視線を梅の木から少し下にずらすと、そこには見覚えのあるポニーテールをした少女が俯きながら梅の木に靠れかかっていた。
「美香・・・なのか?」
逆光の所為で確信は持てなかったため、疑問形でその少女に尋ねると、その少女は小さく頷いた。
俺はそれを見たら、足から力が抜けそうになったが、必死に梅の木の幹に手を置いて平気な振りをした。
「ったく、お前迷惑かけんなよな。もう、暗くなってきたじゃねーか。」
「ごめんなさい。」
「・・・なんか素直に謝られるとどう対応すればいいのか・・・」
「ふ、普通に対応しなさいよ!!」
「ははは。いつもの調子に戻ったな。」
「・・・。」
「まー、俺は男だし?何があったのかはよく分からないけどさ。悩みがあるなら聞くぞ?俺でよければの話だが。」
「・・・。」
「そう、黙りこくんなよー。俺が話ずらいじゃねーか。ほらさっきの調子に戻・・・」
「あたしさ」
「なんだ?」
「あたしさ、本当に凛が好きなのか分からなくなっちゃったの。」
あ、こいつ凛が好きって認めたぞ?
もうちょっといじってみるか?
いや、でもよくよく考えたらここシリアスな場面だよな。
なんかいつも通りに俺の心の中を読者に見せてるけど、雰囲気ぶち壊しじゃね?これ。
「・・・それは誰かが現れたってことか?お前の前に、もう一人凛と張るくらいの奴が。」
「まぁ、うん。そいつは全然自覚ないようだけどね。」
美香はそう言いながらこっちを見てにっこり笑った。
って、なんで俺の方見て微笑んだの?
えー、なんか怖いんだけど。
本当に何か企んでんじゃないの?
「本当に疑わしそうな目で見るのね。あたしは別に何も企んでなんかいないわよ。」
「おま・・・もしかしてエスパー?」
「ち、違うにきまってるでしょ!?」
美香のそんな声と共に後頭部に衝撃が走った。
どうやら、美香に殴られたようだ。
「痛ー。殴らなくてもよかったじゃねーか。」
「いいの!!」
「はぁー。」
「と、とにかくちょっと自分の気持ちが信じられなくて逃げ出したくなったの!それだけ!!」
「え?あ、そうか。」
「ほら、もう帰ろうよ。皆待ってるんでしょ?ちょうど完全下校時間だしね?」
「おう。そんじゃあ、帰るか。」
「うん。」
そんな会話をしながら教室へと戻っていった俺たちだった。