コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.50 )
- 日時: 2012/09/14 21:27
- 名前: リア (ID: lQjP23yG)
「えぇ。まぁ、精々今の言葉を後悔することですね。二人そろって。」
斉藤先輩はあの黒い微笑を崩さずに俺たちに、そう言って退けると、さっさと角を左に曲がっていってしまった。
そう、斉藤先輩が曲がった角を曲がれば、第二音楽室があり、そのさらに奥に星空研究部室があるのだ。
「凛、お前はどうする?」
俺が凍りついたような表情で凛のほうを見ながら、そう言うと、凛も俺と同じような表情をしながら答えた。
「どうする、と言われても・・・行くしかねーんじゃねーの?」
「やっぱり、凛もそう思うか?」
「あぁ。逆に行かなければ絶対カッターが出てくるって。」
「そうだよな。よし、行こう。死ぬ時は凛、お前も一緒だ!!」
「おうよ!!」
俺たちはハイタッチをしながら、そう言った。
そして、ハイタッチを終えた俺たちは緊張を帯びた面持ちに再び戻り、角を左に曲がろうとした。
その時、女の声が聞こえた。
どうやら、俺を呼び止めているようだ。
「あの!如月麗くんだよね?」
「え・・・?あ、俺?」
「うん。もし時間があればちょっと屋上に来てもらえないかな?」
「屋上?」
「そう屋上。」
「何のために?」
「そ、それは・・・ちょっとここでは・・・言えない。」
俺に話しかけた女はそう言いながら、モジモジと俯いた。
この女、面倒くさそうなので断ろうと思ったときに俺の脳裏にある考えが浮かんだ。
その考えはというと・・・この女に呼び出されることによって星研に居る時間が短くなる、ということだ。
「分かった。それじゃあ、先に屋上行っててくれ。鞄置いてからそっちに向かう。」
「ありがとう。それじゃあ、屋上で待ってる。」
その女はそう言って、嬉しそうに顔を輝かせながら階段を上っていった。
俺はその様子にため息を吐きながら、独り言を呟いた。
「また、面倒だな。」
だが、それは独り言にはなれなかったようだ。
「何が面倒なんだよ?」
あの女に呼び止められたため、一緒に立ち止まっていた凛が歩き始めながらそう言う。
俺は慌てて、凛の後を追いながらモゴモゴと口ごもる。
「面倒というか、その扱い方が分からないというか・・・。下手すると機嫌を損ねるし・・・。まぁ、言ったら面倒だな。」
「・・・一体何の話だ?」
凛は本気で分からないようで、真剣に俺の目を見てそう言う。
この時、こいつは恋に関しては鈍感なんだな、と俺は確信した。
「・・・だから、その・・・告白・・・だろ?」
俺が自分の足元を見ながらそう言うと、凛は心底驚いたような声を上げた。
「えーーーー!?麗、そんなに告白されてんの?」
「うっせー。」
俺は少々照れながらそう言う。
というか、凛もかなりのイケメンだというのに、告白とかされないのだろうか?
俺がされて、凛はされていないということもあるまい・・・。
「そういう、お前はどうなんだよ?」
「俺?」
「あぁ。」
「聞いて驚け。今週だけで、4人だ。」
「・・・えぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーー!?」
・・・なんというか、対応し切れなかった。
その”4人”という驚異的な数字は俺の中で神を越える存在のように感じる。
「おま、それマジで言ってんの?」
「マジだって。こんなところで嘘付いて、どーすんだよ?」
「まぁ、それもそーだけどよ。でも、じゃあ、なんでお前彼女居ねーんだ・・・あ、そうか。」
俺は”そんなにモテるのに、どうしてお前は彼女居ないのか?”と聞くつもりであったが、その言葉を聞いたとたんに、凛が今通り過ぎたばかりの第二音楽室の扉を眺めたため、事情を察した。
どうやら、凛もまだまだ腹が決まらないらしい。
凛もやっぱ俺と同じ男なんだな・・・。
そう思ったのと同時に星研部室の扉の前に到着した。