コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.53 )
- 日時: 2012/09/15 16:52
- 名前: リア (ID: SsOklNqw)
俺たちは緊張した表情で同時に扉を開いた。
すると、斉藤先輩が神谷先輩に抱きついて、何かを話している光景が目に飛び込んだ。
どうやら、斉藤先輩は神谷先輩と話すことに夢中で俺たちが部室に入ってきたことに気づいていないらしい。
「・・・よかった。」
俺が小さく呟くと、背後から声が聞こえた。
「何が良かったのよ?」
俺は慌てて後ろを振り向くと、今時っぽいリュックを背負った美香が俺たちの後ろに立っていた。
「いや、何でもない。それより!俺、屋上に用事があるんだった!!そういうわけだから、凛、鞄よろしく!!」
俺はそう言って、凛にスクールバックを投げて寄越すと、美香をすり抜けて、星空研究部室を後にした。
そして、屋上へと続く階段のところまで走って行った。
「はー、本当に遠いんだよな。屋上への階段。」
俺はそう言いながら、数メートル先に見えている階段を睨みつけながらそう言った。
そして、階段の前に到着すると、軽やかにその階段を上って行った。
「えーっと、200段っと!!へー、屋上への階段は200段もあるのか。我ながら頑張ったな。」
俺は最後の段を上り終え、踊り場に足を踏み出しながらそう言う。
そして、すぐ目の前にある屋上へと続く扉へと手を伸ばし、ノブを右回しに回して開けた。
扉を開けると、風邪が勢いよく舞い込んできた。
俺は腕を顔の前に翳しながら、一歩一歩と前に進んで行った。
さすが、屋上だ。風の強さが尋常でない。
てか、今日、こんなに風強かったのか。
それなら、早めに今日は帰らないとなー。
「もしかして、如月君?」
俺が呑気にそんなことを考えているとは知らずに、先程俺に声を掛けた少女が緊張したような声で、俺にそう言う。
俺もその緊張した声を聞いてか、自然と俺の声も緊張したような声になる。
何度も経験しているはずなのに、やはりこの状況には慣れないものだ。
この後に起こる”告白”の後、俺はどう対処しているのだろうか。
その対処は本当に正しいのだろうか。
・・・そんなことばかり考えてしまう。
でも、後先を今考えていても仕方ない。
とりあえず、話を聞くとするか。
「あぁ、そうだ。で、何の用だ?」
俺は何も察していない鈍感男を装った。
すると、その少女は以外にもクスッと笑って俺の方を見た。
俺はその少女の顔を初めてしっかりと見たが可愛らしい顔をしており、いかにも男子にモテそうな奴だった。
「ふふふ。分かってるんでしょ?如月君。」
「何をだ?」
「私が今から告白するってこと。」
「・・・。」
「だって、話があるって来て、屋上ときたら大抵の想像はつくでしょ?で、その結論が告白だとしたら、普通の男子なら舞い上がちゃって、きっとそんなに冷静にいられないはずよ。慣れているなら別の話だけど。」
「・・・。」
「まぁ、そういうわけで、好きです。付き合ってくれないかな?」
んー、この少女はなんというか・・・掴めない。
今までの告白してきた少女たちとは何かが違う。
何が違うのだろうか。
俺はそう思いながら、何気なく彼女の顔を見た。
彼女の目はキラキラと輝いていた。
そこで、俺は分かった。
彼女が今までの少女たちと違うのは、自分に自信があるかどうかだ。
この少女は俺を落とす自信があるのだろう。
だから、こんなに堂々としている。
そうか、なるほどな。
俺は独りでに納得して、頷いた。
すると、その少女が不思議そうな眼でこちらを見ながら、尋ねた。
「何頷いてるの?」
「え?あー、ちょっと納得したことがあって。」
「ふーん。如月君もちょっと変わったところあるんだね。」
「かもしれんな。」
「・・・そんなことより、返事は決まりそう?できれば今日返してほしいんだけど・・・。」
んー、これは自己中というのか?
いや、でもそれほどでもない。
付き合ってみるのも悪くはないと思うが、付き合ったら面倒くさそうな顔をしてる。
とりあえず、お試し期間ということで行こう。
「それじゃあ、お試し期間で付き合ってみよう。」
「・・・え?」
「だから、お試し期間で付き合おうって・・・」
「それは分かるんだけど・・・。でも、なんでお試し期間?」
「付き合っちゃうと面倒くさい女子とかいるからな。お前がそうなのか、それともそうでないのかを見極めるためだよ。」
「なるほどね。分かったわ。で、お試し期間は何日間なの?」
「それじゃあ・・・3日間で。」
「そんなに短いの?」
「十分だ。それ以上は要らないよ。」
「そっか。分かった。ちなみに私の名前は国枝京香。1年B組よ。」
「わかった。それじゃあ、お試し期間中は俺は京香と呼ぶ。」
「それじゃあ、私は儷くんでいいのかな?」
「あぁ。それじゃ。」
俺がそう言って、踵を返そうとした途端、また呼び止められた。
「ちょっと待って!」
「・・・何?」
「今日から3日間じゃないの?」
「え・・・?あー、別にそれでもいいけど?」
「それじゃあ、今日一緒に帰ろうよ。」
「えーっと、あー、うん。分かった。それじゃあ6時に靴箱で。」
「了解。それじゃーね。」
そう言って、彼女は満面の笑みで俺に手を振った。
俺はそれに答え、京香に左手を軽く上げて、ゆっくりと屋上から立ち去った。
今日から3日間だけの期間限定彼女が出来た。
いや、もしかすると正式に付き合うことになるかもしれないが。
でも、まぁ、それでも悪くはない。
だが・・・
何かが違う気がする。