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Re: あの星を探しに。(ラノベ風) ( No.68 )
日時: 2012/10/03 08:05
名前: リア (ID: SsOklNqw)

「あ、もしもし?儷くん?さっき掛けたのに、出てくれなかったね。」

「ごめん。ちょうど家に帰ったとこでさ、気付かなかったんだ。」

「そっか。・・・それで、話って何?別れ話は無しよ?2日後なんだから。」

「あぁ、それは分かっている。話ってのは、京香、お前のことについてなんだよ。」

「私のことについて?」

「そう。お前さ、いっつも自分の気持ちに嘘ついてきただろ?」

「・・・」


暫く沈黙が続いた。

俺は言い方がまずかったのか、と戸惑っていると、不意に京香が答えた。


「・・・そうかもしれないね。だって、私は自由を手にしちゃいけない存在だもの。自由と言う名のつくものはすべて捨てたはずだった。だったのよ!!なのに!!なのに!!あなたが現れるから!!公立に来ちゃったから!!もう、それが出来なくなって・・・」


そう言うと、京香は電話越しに泣き始めた。

しかし、俺はそこで慰めなかった。

逆に怒ったのだ、京香を。


「お前は馬鹿だ!!大馬鹿だ!!」

「・・・え?」

「自分の気持ちに嘘つくのが当たり前?自由は捨てる?何だよ、それ!?自分の気持ちに素直で何が悪い?逆に聞くがどうして責められるんだよ!お前が、ちゃんと親に自分のやりたいことを伝えないから、お前はお前の望んでいる自由を手に入れられないんだ!」

「・・・」


俺は言いたいことは言ったので、一息ついた。

先程までのモヤモヤがすべて吹き飛んだような気がした。

京香には少し言い過ぎたかもしれないが、あそこまで言わなかったら、彼女は死ぬまで自分を犠牲にするに決まっている。

でも、視点を変えれば今までの自分の生き方をすべて批判された、とも言える。

だから、彼女がどう捉えるかによって、彼女自身の未来が変わってくる。

さぁ、どっちだ。

京香を変える糧になるのか、それとも京香をさらに自己犠牲馬鹿に仕立てあげてしまうのか・・・。


「・・・あはは」

「な、何が可笑しい。」

「だって、そこまで見透かされるとは思わなかったもの。」

「は?」

「私も自分で気づいてた。自分が自己犠牲馬鹿だって。でも、変えられなかった。だって、この生き方の方が私の家の中では楽だし、一々親に何か言われることもない。だったら、この生き方を儷くん、あなただって選ぶでしょう?」

「・・・まぁ、自分の望みがねじ伏せられる程小さいことなら。」

「そう。私の望み何て傍から見れば小さなもの。でも、私の望みは私から見ればあまりにも大きすぎるの。違い過ぎるの。もう遅いの。」

「・・・望みに遅い早いなんかあるものか。」

「・・・」

「お前の望みは何なんだよ!!ちゃんと言ってみろ!!親にちゃんとそう伝えるんだ!!そうじゃなきゃ、お前は一生自己犠牲馬鹿だ!」

「・・・私の、私の望みは・・・普通の子供みたいに当たり前に生きること。ね?無理でしょ?」

「そんなことない。ちゃんと、そう伝えれば、望みは叶うよ。子供の望みを叶えない親なんていないさ。まぁ、限度はあるだろうけど。」

「・・・そっか。それじゃあ、やってみる。言ってみるよ、親に!!」

「おう!!」


















こうして、彼女は、国枝京香は解放されたのであった。