コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: モノクロストリート−『平凡』が変わった日− ( No.12 )
日時: 2012/12/01 12:45
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: 98AXyywb)

「わざわざ来てくれるとはご苦労」
声のした方は、不自然に暗い。
午後9時。暗いのは当然なのだけれど、そこの場所だけ街灯の光を遮るようにして暗かった。

「千景ちゃん久しぶり」
千景、と呼ばれた男はどこか中性的な印象で、暗闇と同じような漆黒な長髪を風になびかせていた。
「ちゃん付けはやめてもらおうか」
笑いながら話すつぐみとは対照的に、千景はあまり表情をみせない。

「ねえ、まだ潰す気でいるの?」
「そうだな。大人しく従ってもらえなければ良いのだが」
「従うと思う?」
「全く思わないな」

「だが、お前の方に戦闘に優れた者はあまりいないと記憶しているが?」
「そうだね」
つぐみはそこで一旦間を置くと、
「だから、私の方から潰しにきた。どーせわかってたんでしょ?」

「まあな。お前の考えてることなんてわかる」
「えー? ぷっ、ははっ能力違いじゃ、っ!
言葉は最後まで続かなかった。風、いや、影がつぐみの前を横切る。
「不意打ちなんてずるいな」
普通なら暗闇で周りが見えないため、よけられないような攻撃だが、つぐみは千景から心を読み取り、素早くよけるようにしている。
反動でフードがとれたが、気にしない。

つぐみはぐっ、と足に力をいれると、そのまま猫のように跳びあがる。
そのまま蹴りをいれようとするが、影が動きそれを止める。
「千景ちゃん、本当に心読めるんじゃないの? やだな。千景ちゃんが読めちゃったら私の出番ないじゃん」
「いや読めないな。お前のその戦闘は能力ではなく、運動神経だろう?」

千景は後ろからの気配に気付き、その方向を向く。
蹴りが目の前に迫ってきていて、すぐに避けたが小さくかすったようだった。
「前よりは強くなったんじゃないのか」
「そりゃどうも……」
千景はすぐに影を出すと、つぐみの方向に向かわせる。
つぐみが避けようと身構えていると、

その間に人が滑り込むように入り、血で目の前が赤く染まった。