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Re: モノクロストリート−『平凡』が変わった日− ( No.15 )
日時: 2012/12/01 12:47
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: 98AXyywb)

—それはいつのことだったか

当たり前の日常が楽しかった。
その当たり前が崩れたのはいつだったか。

あの頃に戻りたいと、今になっても思うんだ。


————

放課後、聞きなれた声が隣から聞こえる。
「裕翔。裕翔ってば。裕翔君? 裕翔さーん」
「安定のうざさだな」
「安定のひどさだね!?」

わざとらしく泣き真似をするつぐみは、いつものことなので放っておく。

「今日、千景は?」
「ん、もうすぐ来るでしょ」

と、つぐみが言って、すぐに廊下から聞こえる足音。

「待たせたな、二人共」
「千景ちゃん遅いよ!」
「悪いな。テストのときに成績をあげるべく、隣の者の解答用紙をガン見したところ、それがばれてしまった。」

「普通にカンニングって言おうよ」

いつもと変わらない、馬鹿っぽいやり取り。

「いつか、三人で仕事しない? なんでも屋みたいの」
「はぁ?」
「名前はねー、モノクロストリート」

「白黒の、道?」
「ここ」
「ああ、確かにそうだな」

俺たちの毎日通る帰り道は、建物が白黒の物が多く、モノクロな印象だった。
正直、俺にとってもこの時間は、一日の中でかなり好きな時間で、その名前が良いと思った。……そんなこと、絶対に言ってあげないが。

隣のつぐみを見るが、今の考えてることは読まれていなかったようで安心する。

「いいでしょ?」

俺たちが、『もちろん』と言うことを読んだ上で聞くのだからタチが悪い。
もっとも、読まなくてもわかるだろうけれど。




普通の中学生と全く変わらない日常。下校中。
これがすごく幸せだって気づいたのは、終わったあとのこと。