PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロストリート−『平凡』が変わった日− ( No.16 )
- 日時: 2012/10/14 18:39
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: vBQZrbVQ)
「ははっ、裕翔のせいじゃないでしょー」
「俺があのときかばってれば、よかっただろ」
病室。包帯のまいてある腕を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
そう。俺があのときかばっていれば、傷は三秒でふさがった。
あの日、楽しく三人で話しながら帰ったあの日の夜に、だ。
千景はつぐみを呼び出して、影の能力を使い、攻撃したらしい。
その場を偶然目撃したのが俺だ。
つぐみは困ったように笑って、
「かばってればよかった、なんて言われたら私の立場ないじゃん」
「でも」
「こんくらい、すぐ治るし」
「千景は、なんであんなことしたんだ?」
「さあ? 読めないんだ。」
「読めない? 能力が使えないのか?」
「そうじゃなくて。千景ちゃんだけ、読もうとすると、何かにはじかれてる見たいになるの。ちょっと前からこんな感じだったんだけど」
千景がそうする理由が見つからなかった。
一緒にいたときは、本当に楽しそうだったのだ。
あれが演技だとは、どう考えても思えなかった。
「千景ちゃん、あのあと一回だけ来たんだよ」
「は?」
「とどめさしにきたのかと思ったけど、すまない、って一言だけ言って帰った」
「……」
「裕翔」
「……なんだ」
「開こうね。モノクロストリート」
何故、このタイミングで言うのか。
疑問に思えば、考えていたことに返事が返ってくる。
「このタイミングだからだよ。高校卒業したらすぐにでも、さ」
「……おう」
あとで、千景がセピアロードというところに所属したことを読んだと、つぐみから聞いた。
PR