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「裕翔君？」
「え？　ああ、なんだ？」
「いや、なんかぼーっとしてるみたいだったから」

つぐみさんが、あのあと出かけて、他のメンバーは来てない。これは……

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　気まずい。

(裕翔君とまともに話したことって、そういえばなかったっけ)
そう思えば、余計に恥ずかしくなってくる。

(何か話題！　何か話題を……)

「舞香」
「はぅあいっ！？」
いや、何その声。もっと、「わっ！」とか「えっ？」とかあったでしょ。

「なんだその驚き方。あのさ、瞬間移動って、物を移動させることもできんのか？」

「え、いや、そんなのした事ないけど」
「そうか。じゃ、このコップでやってみてくれるか？」

差し出されたコップを見つめる。ちゃんと集中しないと、変な方向にいってしまうから。
能力を使うときにかける力を、コップに流すような感じで。

びたんっ！！
コップが消えたので成功したのかと思い、コップを探すと。
コップは、裕翔君の顔のど真ん中に当たっていて、

「うぁあぁぁああ！　すいません！　ごめんなさい！」
「……おま、どうしたらそんな綺麗に顔にいくんだよ。別にいいけど」

コップを取った裕翔君の顔からは、すぐに赤さがひいていく。

「つぐみに見られてたら、笑われてたな、これ」
つぐみさんか。裕翔君が猫に引っ掻かれてた時も大爆笑してたっけ。

そういえば、裕翔君っていつもつぐみさんと一緒にいるよね。
ここの仕事関係？、みたいのもあるんだろうけど、

裕翔君って、

「裕翔君って、つぐみさんが好きなの？」