コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロストリート【コメント募集!】 ( No.35 )
- 日時: 2012/10/14 19:00
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: vBQZrbVQ)
「千景。千景はまだ引きずってるんだね。未練がましいね」
隣に座る少女は「にこり」という擬音が聞こえてきそうな笑顔を浮かべながらそう言った。
綺麗なピンク色がかかった髪に病的なほどに白い肌。
整った顔立ちの美少女だった。
綺麗で、それでいて作られた笑み。
「なんとでも言えばいいだろう」
「うん、千景は未練がましくて、臆病で、とっても馬鹿だよ」
「蓮華」
「でもね、千景のそんなところが私は好きだよ」
蓮華と呼ばれた少女は、微笑みながら言葉を続けた。
そんな蓮華の笑顔を見て、千景はかつての友人の表情と重ねた。
「今も、昔のこと思い出してたね」
「……心でも読めるのか」
「それは今思い出してた子の能力?」
そこまで言い当てられて目を見開く。横を見れば、いつもの微笑み。
「その子がさっきから読もうと必死なんだよ。無効化にするのも疲れちゃう」
「蓮華、お前は何が狙いなんだ?」
「千景を利用して、モノクロストリートを潰すことだよ」
躊躇いもせずそう言う蓮華に、千景は苦笑した。
「最低でしょ。千景が優しいのを利用して、千景の大切なものを潰そうとしてるんだよ」
「ああ、最低だな」
「そんな最低な私を好きになった、千景が悪いんだからね」
責めるような口調。
「千景は逃げられないよ。過去からも、私からも」
もう、戻れない。
——————
「あー、まじっすか。手加減すんの忘れちゃいまして」
かったるそうな声。周りには倒れている男達。
『だから気をつけろって言っただろう。まあ、これから仕事だから戻ってこい』
「またっすか? 休ませてくださいよほんと」
『携帯片手に戦っているやつが何を言う。東ヶ崎柊と言ったか』
「おー、覚えててくれたんすね。あ、じゃあこっちもう終わりましたんで」
『死なせてないだろうな? じゃあ、早めにこい』
通話終了の音が聞こえ、携帯を閉じてポケットにしまう。
はっ、と短めに息を吐くと、まただるそうに欠伸をする。
「……人使いの荒いお方だ」