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Re: モノクロストリート【コメント募集!】 ( No.36 )
日時: 2012/10/14 18:28
名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: vBQZrbVQ)

「……?」
背中に感じる、コンクリートの冷たい感覚。そして頭に痛み。状況を把握するまで時間がかかった。

舞香は、ビルの屋上で手足を縛られた状態だった。

「お目覚めっすか。おじょーさん」

「誰、ですか」
ゆっくりと身体を起き上がらせる。

「『誰』? そうっすねぇ。セピアロードの優秀な部下、東ヶ崎柊。とでも」

『セピアロード』『東ヶ崎柊』 舞香にはどちらも聞き覚えがなかった。

「瞬間移動の野々宮さん、ですっけ? いやー、おとなしそうな子でよかったっす」
軽いノリで喋り出す柊に、敵意は感じられなかった。
瞬間移動は縄にしばられた状態だと使えないようで、力もそれほどない舞香は、どうすることもできなかった。

「縄でしばってる上での瞬間移動は無理なんじゃないすか?」
気づかれていたことに驚く。

「っていうか、ここじゃどっちにしろ能力は使えないっすよね」

「どういうこと、ですか?」
「無効化能力……今にわかるっすよ。まあ、君にはここで待っててもらえばいいっすから」

自分は今、人質として捕まっているのだろうか。
ここで助けてもらうのを待っている。それしかできない。

無力な自分に苛立ちを覚えた。

「この縄、といてもらえませんか?」
「ははっ、それは無理なお願いっすね。これも仕事ですもんで」

どうにかできないか周りを探したところで、小さな石を見つける。

そして、裕翔とのやり取りを思い出す。
コップを瞬間移動させたときのことだ。あの時は失敗だったが。

幸い、指さきは動く。
舞香は意識を集中させ、その石を動かそうとする。

「ぇ……?」
石は動かない。1cmも動いていないのが確認できた。それは何回やっても同じで。

「あー、無理ですって」
そうなることをわかっていたような声が聞こえてくる。

「ここは、蓮華さんの能力範囲内っすからね」