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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: モノクロストリート【コメント・アドバイス募集】 ( No.59 )
- 日時: 2012/10/24 23:06
- 名前: にゅるあ ◆6YRzs3gfaA (ID: TAPuOKlQ)
その一瞬は、自分が誰かに操られているような不安定な感覚。
今何が起こっているのかを理解しているのは、裕翔と千景だけだった。
「ははっ、これは面白い」
柊はそう言うと飛び上がり、つぐみの頭上へと移動した。
振り下ろされる足。隣にいた裕翔は止めようともしないし、つぐみもそれを見つめるだけだった。
「つぐ……!?」
莉唯が言い切る前に、柊の体が空中で止まった。というより、柊が自分で止めたようにも見えた。
「—っと?」
それは一瞬で解け、柊は一回転して壁に着地する。
「ほう? 面白い能力をお持ちのようで」
「面白いかどうかは知らないけどね」
そこではじめて口を開いたつぐみは、いつもとどこか雰囲気が違っていた。
いつもより光って見える赤い目。
「相手の心を操る、お前のON状態といったところか」
「その言い方ってなんか厨二っぽいね」
こんな状況でもふざけてみせるつぐみを、千景が笑う。
「俺の注意を引きつけ、無効化能力を止めようとしているのだろう?」
「……気づいてるんだ?」
「まあな。だが気づいてるのは俺だけじゃないらしい」
ぶつり、と。何かが途切れるような音がつぐみの脳内に響く。
「んー、つぐみちゃんっていったかな。ねえ、本当にこんなんでとめられると思ったんだ?」
どこまでも優しい声で、蓮華がそう言った。
「有効化」
目の前がぐにゃりと歪み、激しい頭痛がつぐみを襲った。
「っつ……ぁ」
思わずその場に座りこむ。
「ね、こうなるとこまで考えなかったの?」
蓮華が近づいて、つぐみの顔を覗き込んだ。
瞬間、それまで苦しげだった表情がニヤリと笑った。
「——っ」
空気が変わる。
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