コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: ■□スクエア□■ ( No.50 )
日時: 2012/10/07 17:10
名前: うえってぃ ◆ni3sdPO.xQ (ID: HpE/sQXo)

第十一話■言葉■

「おい」

不意に、後ろから声がした。

「翔……くん」

振り返ると、そこにはイヤホンを片方だけした翔くんがいた。

「なにしてんの」

「いや、なにも……」

わたしは慌てて、流れた涙を拭う。

翔くんは笑顔じゃなかった。

わたしは、あなたのあの笑顔が見たいのに……

「あっそう」

翔くんは、そう言ってこの場を去ろうとした。

「待って!」

わたしは、衝動的に翔くんを呼び止めた。

「なに」

翔くんの冷たい声に、溢れ出しそうな涙をぐっとこらえる。

「また……明日ね」

小さく呟いたつもりだったけど、翔くんにはしっかり聞こえていた。

「おう、また明日な」

翔くんにとっては何気ない一言だったかもしれない。

それでも。

わたしにとっては、嬉しい言葉だった。

明日、行きたくなかった憂鬱な学校も。



行きたいと思えた。