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Re: ■□スクエア□■ ( No.58 )
日時: 2012/10/08 16:34
名前: うえってぃ ◆ni3sdPO.xQ (ID: HpE/sQXo)

第十二話■被害者■

「おはよ、舞」

通学路を歩いていたら、ふいに後ろから声をかけられた。

「亮太……」

会いたくなかった。
亮太の優しさを感じてしまったら、離れたくなくなるのに。

「一緒に行こうぜ」

亮太の笑顔に胸がずきっと痛む。

「……ごめん」

「え?」

「今日は一人で行きたいんだ」

嘘をついてしまった。
思ってもいない嘘を。

「なんでだよ」

わたしの腕を掴んだ亮太の手を振りほどく。

「おねがい……」

亮太の複雑な表情は、わたしの心をぎゅうっと締め付けた。

……胸が苦しいよ。

遠ざかっていく亮太の大きくて切ない背中を見ていたら、涙が流れていた。

わたし、どうやっても人を傷付けてしまう。

自分の不甲斐なさに、嫌になった。



どうすれば、誰も傷付けずにいられるんだろう。

わたしのなかに、小さな疑問と大きな悲しみが生まれた。