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Re: ゆめの住人。 ( No.12 )
日時: 2012/12/02 02:56
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: xr1in99g)
参照: エピソード4.

( 受け止めろなんて無理ですと )

「ん、うう…頭がボーっとする…」

朦朧とする頭で起き上がる。
目がまた軽くぼやけていて、こすると周りの風景がだんだんはっきりとしてきた

(な、何ここ?!)

一瞬、いや数分だっただろうか、自分の目を疑った。
そこは一面お花畑で綺麗な色の蝶々が飛んでいる。
さっきまで自分が居たのはアトリエだったはずなのに、全く知らない所に来ていたのだ

(まさか誘拐されたとか?嘘でしょ…)

混乱する頭で先ほどあったことを振り返る。
確かパレットナイフを取り出して、それから絵を切り裂こうとしていた。
思い出すと、心が鉛が付いたみたいにずしんと重くなって、ギュッと強く拳を握った。

(でも、誘拐されたとしてもアトリエにだれもいなかったよね、ますます分んないよ)

思考はさらに混乱し、自分の頭を抱えてしゃがみこんだ。
これからどうすればいいのか、ここはどこなのか、なぜ自分がこんな所に居るのか。問題はたくさんあった

「あれ、貴方見ない顔だね…新入り?」

後ろから明るい声が聞こえて、人が居たことに喜んで振り返るとそこには奇妙な花を手に持った女性が立っていた。
彼女は不思議な物を見るように、話しかけていたが自分がその状況を理解するまでにまた数秒かかったのは言うまでもない。


「ふーん、じゃああんたもここに来た理由ってのを知らないんだ」

その人は、清という名前らしく、自分と同じで突然この世界に来てしまったらしい。
呆然としていた私にとりあえず色々話しかけて、ここについて教えてくれた。

「んー、まあ私もよく分かんないんだけどさ、ここは私達が居た世界とは違う世界らしいよ?異次元…っていうのかな?そんな所」

(い、異次元?嘘でしょ、そんな非科学的なの…なんかのドッキリだ、そうに決まってる)

もう思考が混乱している、では済まされず私の脳内は様々な言葉が重なって真っ白ではなく真っ黒になっていった。

再び頭を抱え込んで私が唸っていると、清さんははあ、と呆れたと言いたげにため息をつくと、急に立ち上がって私の手を少し強引に引っ張っていった

(拉致?どこに連れて行かれるの?怖い怖い怖い怖い)

恐怖で体が思うように動かない、ドラマでよく見る足がすくんでいたりするのはこういう事なんだと身に沁みた
ずんずんと、清さんはどこまでも歩いていく、景色も段々とお花畑じゃなくなって、道ができていた