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Re: ゆめの住人。 ( No.16 )
日時: 2012/09/18 16:56
名前: 生卵。 ◆l5afVy7QjU (ID: mbngsveM)
参照: エピソード6.

( その理由 )

夢見壮に入ると、広い居間のような所が有り、私はそこに座った。
クリスと呼ばれているその子は中に入るなりどこかに走って行ったかと思うと、しばらくして戻ってきた。手にはマグカップのようなものが握られていた。

「大丈夫かい、あんた」

清さんが横で心配そうな顔をしているのがわかり、迷惑をかけるわけにはいかないって笑みを作った。
たぶん相当ぎこちないものになっていただろう。

クリスと言う子は自分が持っていたマグカップを私の前に置いて、飲みなと言った。中はココアのようなものが入っていた。
ありがとう、とお礼を言う意味も兼ねてぺこりと頭を下げた

(美味しい…)

暫くして落ち着いた私は、改めて周りを見回す。
中はいたって普通の家のリビングを広くしただけに見える。

「落ち着いた?」
「あ、はっはい…」

急に話しかけられたため、体がビクリと脊髄反射で動いたのか、マグカップを落としそうになった。

「落ち着いたなら、ここの世界の話をするね」

(ああ、異次元だとか言ってた話…まさか本当の事じゃないよね?)

起きたら全部夢だった、そうだったらどれほど楽か。
でも先ほどの怪我からしてもしっかりと痛みはあったのだから夢じゃないんだろうな、とうすうす感じ始めていた。

「ここはね、まあ異次元って言っちゃえば異次元なんだけど、夢の世界なのよ」
「え?…夢?」

何だ夢かー、なんて言えるほど私も能天気じゃなかった。
第一こんな世界を夢で見るほどファンシーな思考は持ち合わせていない。

「ここはね、何か罪を犯してしまった人が来るところなの」

(そ、それって殺人犯とかそう言う人達がいるって事?え、私なんかした??)

「でも、ここは罪を犯してしまってもまだ選択肢の残ってる人たちが来るところよ、殺人とか強盗とかは別よ」

クリスと呼ばれた子はそのまま淡々と話し始める

「その罪に気がついて、それを元の世界で防ぐためにこの夢見壮が有るのよ」
「私たちの生きている人生はね、何通りもの選択肢が有るんだけど少し間違えると結構厄介な事に成っちゃうのよ」

意味が解らず首をかしげていると清さんは苦笑いをして急に席を外した
なんでだろう、と思ったけどそんな親しい訳でもない人に着いて行くのも迷惑だろうと思い、追いかけないで話を聞くことにした。

「まあ言ってしまえばね、貴方が絵を切り刻んでいたらもう貴方は二度と絵を描かない、という選択肢の分岐した人生を歩むことになるのよ」
「な、何でそのこと知ってるんですか?!」