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Re:  右側の特等席。 ( No.10 )
日時: 2012/09/20 21:34
名前: ゆえ ◆On1IXUdtAs (ID: qd1P8yNT)
参照: トリップが違いますが、ゆえ本物。携帯からです。


第一章 【 「恋、してみる?」 】



【 第一話 】




バタバタと騒がしい音に、目が覚める。目を開けると、窓からの日差しが降り注いでいて、正直眩しかった。
廊下からの五月蝿い音にすっかり目が覚めてしまい、もう寝る気にもならないので、立ち上がって仕切りのカーテンを開ける。





「あ、広瀬さん。やっぱり、五月蝿かった?ごめんなさいね」
「あ、はい…まあ…」





先生が悪びれたような顔をする。別に、悪いのは先生ではないのに、謝らせてしまった。こんなんなら、我慢して起きないでいればよかったかな。
それにしても、この騒ぎようはなんなのだろうか。何か、足音がどんどん近づいているような気がする。先生は何か知っているのだろうか。




「あの、笹川せんせ——」
「先生!また怪我した!!!」




・・・・・・え?
勢いよくドアが開いたと思えば、第一声はそれ。はあはあと息遣いが荒いので、さっきの足音の正体は、きっとこの人なのだろう。




「はあ・・・・・・やっぱり今野くんね?てか、怪我したのに元気ね」
「ったりめーだろ。元気が俺の取り柄だ・・・ん?」




にまっと笑った彼はわたしに気づいたのか、はたとこっちを見て、不思議そうに首を傾げた。




「先生、こいつ誰?」
「こら、こいつって言わないの。この子は広瀬さん。具合悪いから寝てたのに、今野くんが五月蝿いから起きちゃいましたー」
「え、うそ。ごめん」




先生に言われ、ぺこりとこっちを向いて頭を下げられ、焦る。確かに五月蝿かったけれども。起きてしまったけれども。それは皆に謝られたかったからじゃないのに——・・・。
ていうか、この人。今野くんって言うんだ・・・。




「うん、よろしい。じゃあ今野くん、どこを怪我したの?見せてみ」
「膝擦りむいた」





そう言って今野くんと言う人は、こてんと近くの椅子に座って、膝を見せた。その膝からは、痛々しく血が出ていて、わたしは思わず目を逸した。


血は、嫌いだ。好きな人はあまりいないとは思うが。わたしは血を見ると、吐き気が込み上げてくる。それほど、嫌い。




血を見ると思い出すのは、あの日の光景———・・・。