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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。 ( No.22 )
- 日時: 2012/09/17 11:55
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: cPRWXRxr)
【 第五話 】
「・・・え?」
ぎゅっと瞑っていた目を、ゆっくりと開ける。痛くない、転ぶはずだったのに。誰かに——支えられている。そっと上を見ると・・・。
「・・・へ?」
てっきり、友香だと思っていたのに、全然違う。だって友香は、こっちを呆然と見ているもの。この人は——・・・。
「大丈夫か?」
「こ、今野く、ん?」
とやら、だった。
「え、何で・・・」
「俺も帰ろうとしたら、転びそうになってたから」
「え、ああ・・・」
そっと体から手を離して言う。わざわざ来て、助けてくれたんだ。
「あ、あの、ありがとう・・・」
「・・・・・・ん」
今野くんとやらは、優しく微笑んで、頭にぽんっ、と手を乗せた。——不覚にも、ドキッとしてしまう。だって、今日会ったばかりなのに。
「じゃあ、また」
「え、あ、はい!」
そう言うと、今野くんとやら・・・ううん、今野くんは、帰っていった。
「なっ、何今の!格好良いねー、知り合い?」
「え、えと・・・今日、保健室で」
「そっか!真優もやっと恋できるかもね!」
「わっ、ちょ、声でかい!」
まだ今野くんの背中が近いから、今の話が聞こえたかもしれない。第一、まだ好きだなんてわからない。
「・・・でも」
恋はしてみたい。周りの子達は、皆好きな人や彼氏がいると友香から聞いた。やっぱり高校生は、好きな人がいるんだなあ〜て、改めて思った。
「・・・あれ、友香は?」
「ん?」
「友香は、好きな人いるの?」
そう聞くと、友香は目を見開いて、困ったように笑った。
「・・・ノーコメント」
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