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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。 ( No.28 )
- 日時: 2012/09/17 12:05
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: cPRWXRxr)
【 第六話 】
しばらくして、家に着く。やっぱり、少しフラフラと目眩がする。もうちょっと、家と学校近いといいのに、なんて叶わない事を思う。うちは母がいないから、父と、弟との三人暮らし。家事はほとんど父と弟がやってくれる。わたしは、ずっと立ってはいられないから、座ってできるものを手伝う。
ドアを開けて中に入る。中は薄暗く、まだ誰も帰ってきていなのだろうと、安易に予想できた。案の定、ドアに鍵も掛かっていたのだから。
「ただいまー・・・」
返事が返ってくるわけもないのに、癖で言ってしまう。だけど、小さい頃は。学校から帰ってきて「ただいま」、と言うと、必ず返事が返ってきた。優しく、「おかえり」って返ってきた。
だけど、その日常を壊したのも、わたしだから。文句など言えない。
パッ、と部屋の電気をつける。そこにあるのは、母の写真。一番見やすいところに飾っている。
母が死んだのは、わたしが小学二年生のときだった。
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