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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。 ( No.33 )
- 日時: 2012/09/17 12:44
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: cPRWXRxr)
【 第七話 】
その日は、土曜日。そして、母の誕生日だった。
その時にはもうわたしの体は弱くて、その日も少し気分が悪かった。けれども、誕生日は、年に一回しかないからって、一緒にお買い物行こうって誘った。
母は、きっと分かっていた。わたしの具合は、決してよくないんだと。だけど、駄目とは言わなかった。寧ろ喜んで支度をしていた。喜んでいる母を見ると、わたしも嬉しかった。
そして、街で一番大きなショッピングモールに、ふたりで行った。洋服を買ったり、食料品を買ったり。そこまでは、よかった。
悲劇は、帰り道。
わたしの具合が、急激に悪くなった。歩くことも、不可能になるぐらい。
だけど、心配かけたくないって。だって、誕生日だから。
それが、ダメだった。
いつの間にか道路の真ん中にいたわたし。意識がどんどん薄れていたから、今どこにいるのか、何をしているのか。全く分かっていなかった。
どんどん近づく大型トラック。運転手は気づいていない。
「真優!!!!!!」
それが、母の最後の言葉。そしてドンッという破壊音のような音と、紅い海。
母が死んだのは、わたしのせいだ。わたしが無理してまで、一緒にいたから。
だから、文句を言う筋合いは、わたしにはない。わたしはただ、今いるこの家、環境の中で、ただただ、育っていくだけ。だけど近くには、もう母はいない。
思い出すだけで、目頭が熱くなる。
ごめんね、お母さん。
こんな子に生まれて、ごめん。
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