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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。 ( No.48 )
- 日時: 2012/09/19 19:16
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: SFUeWmbv)
【 第十話 】
「・・・えと。もう一度言いますが。意味がわかりません・・・」
「はあ?はっきり言ってんじゃん。お前本当に馬鹿?」
馬鹿じゃないんです。ただ、今の状況について行けないだけ・・・。
今野くんと、誰が恋をしろと?わたし?広瀬?真優?何で、わたし?てか、何で今野くん?まず恋って、そんな簡単にできるものなのだろうか?
まったく理解ができないわたしを、今野くんは意地悪く、面白そうに笑って見ている。
「・・・あ、言っとくけど」
「・・・はい?」
「お前が俺を好きになっても、俺はお前に本気にはならないから」
「・・・・・・・・・はい?」
なんだそれ?恋してみるって言ったのは、今野くん、あなたでしょうに。わたしが好きになっても、今野くんは本気にならない?また、からかっているのかと今野くんに言おうとしたが、やめた。
だって今野くんは、誰かを想ってるような、儚い顔をしていたから。
・・・本気にならないって、もしかして・・・。
「・・・好きな人、いるんですね?」
「・・・っ」
単刀直入にそう聞くと、今野くんは顔を真っ赤にして俯いた。さっきまで意地悪ばかり言っていた彼がそんな顔をするのは、何か新鮮で、面白い。
「・・・誰にも、言うなよ。俺は皆のものだから」
「ぶっ」
真っ赤な顔で真面目にそういう今野くんが面白くて、つい吹いてしまった。そんなわたしを、今野くんは不機嫌そうに見下ろす。
・・・ベッドから立ち上がる今野くんを見て、今思った。今野くん、背高い。わたしの二倍ぐらいはあるんじゃないだろうか。
「・・・今野くん、背高い」
「お前がちっちゃいの」
そう言って、髪をぐしゃぐしゃにされる。
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