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Re: 右側の特等席。 ( No.80 )
日時: 2012/10/15 17:11
名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: PfSERi5k)

【 第二十三話 】





そんな事を言う今野くんの顔は、先程より打って変わって、すごく真面目で儚げで。この人がさっきまで、わたしに意地悪く微笑んでいたの?って思うぐらい、悲しい顔で、わたしを見ていた。

ベッドを区切るクリーム色のカーテンがさあっ・・・と風に靡く。窓の外では、生徒たちがボールを追って走り回っていた。・・・ああ、もう昼休み?時が流れるのは、意外と早いものなんだ。

——何て答えればいいのだろうか?もちろんだよ?あなたがわたしを求めることなんて、ないでしょうって言えばいいの?・・・それじゃ、駄目な気がする。彼は、どんな答えを待っている?



「・・・じゃあ」



答えなんてわかりきっている。イエスに決まってる。じゃあ・・・。



「わたしが今野くんを求めたら、答えてくれるの・・・?」
「・・・・・・」


そう尋ねると、困ったような顔をして俯く。答えてくれないと、わたしも答えられない、そんな気がした。——なぜかは、自分自身分からない。ただ、思っただけ。それだけ。



「・・・言ったろ」
「え?」


「俺は、・・・”あいつ”以外・・・本気にならない・・・」


「・・・あいつ?」


あいつって、誰?何でそんな顔をするの?大事そうな、大切なものを愛おしそうに見つめているような、顔を。
その視線の先には、誰がいるのかな?



「・・・ごめん、俺戻るわ。——また来るから」
「・・・え、来てくれるの?」



まさか、また来てくれるなんて思ってもいなかった。こんな雰囲気になったら、もう避けられると思っていたから。



「・・・恋してみるって聞いたじゃん」
「え?うん」

「・・・俺を、振り向かせてみてよ」

「・・・っ、え」
「じゃあな」



そんな捨て台詞、聞いたことないよ。振り向かせてみてよ?あんな、誰を思ってるのかは知らないけれど、愛おしそうな顔を見たあとで、そんな気がわくわけ・・・。



「・・・もう、意味わかんないよ」



彼と出会ってから、毎日がキラキラ?なんて。

逆。

毎日が、ぐるぐる。




第二章 E N D