コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。 ( No.101 )
- 日時: 2012/10/10 10:13
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: OGx4sWVO)
【 第二十七話 】
暫く長い距離を歩いて、やっと学校につく。軽い眩暈はするが、これは保健室へ行く程ではないと自己解決し、外靴から中靴へ履き替えて、階段を登ろうとする友香と真希くんに慌ててついていく。何も言わないで行っちゃうってことは、きっと今日も保健室へ直行すると思われたんだろう。何て頼りないんだ、わたし。まあ確かに、朝は調子よくても、学校つくと気分悪い時があるから、仕方ないんだろうけど。
「・・・あれっ、真優?今日、保健室は?」
「・・・来る間、大丈夫だったのか?」
後ろからついてくるわたしに気づいたふたりは、友香、真希くんの順番で、そんな冷たいことを言い放つ。
「今日は大丈夫。だから、教室行く」
「おおう!よっしゃ、じゃあ行こっか!」
「油断すんなよ。気分悪かったらすぐ言え」
——前言撤回。やっぱり、ふたりは優しい。
支えられながら、わたしは三階にある教室へと登っていった。
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ざわざわと騒がしい教室へと真優が入ると、一瞬時間が止まったかのように、ぴたっと騒がしさがやむ。そして、また騒がしくなる。けれど、先程までとは、少し違う騒ぎよう。・・・そう、わたしのこと。
「あれ、"社長"朝から来たよ」
「ちょっと、その社長ってなによ?」
「ほら、いつもいつも余裕で保健室でサボってんじゃん?お偉いさんだなーって」
「ああ、だから社長ね!うまいっ」
「でしょーっ」
・・・ああ、何て不本意なあだ名。別に偉くなんかない。全然うまくない。わたしの事情なんて知らないくせに、そんな身勝手な事を言わないで。
「・・・真優」
「気にすんな!」
真希くんと友香が、双子らしく分けて言う。いつもは全然似ないのに、こういう時だけ気が合うんだから。——すごく、優しいな。
「・・・ありがとう。大丈夫、わたしは大丈夫」
言い聞かせるんだ。陰口何て気にしない。わたしはわたしらしく生きるだけだよ。
こう考えるようになったのは、やっぱり今野くんに出会えたおかげなのかな、なんて。意味わからない事を思ったのは、秘密で。