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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。■お客様10人突破■ ( No.127 )
- 日時: 2012/10/21 17:25
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: RCkZ3Tkz)
【 第四十一話 】
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
なぜ、こんな重苦しい空気になっているのだろうか。
保健室に現れた、転校生と思われる女の子。
これはまた美少女で、ウェーブしている肩までのショートが可愛らしい。目もぱっちりと大きくて、男ならきっと、形がよくて真っ赤な唇に目を奪われるだろう。
どうしてこんな事になっているんだろうか?
そんなの、わたしが聞きたい。
重苦しい空気を破ったのは、翼くん。
「・・・彩奈、何でここにいるの?」
「親の仕事で・・・。・・・それと・・・」
ちらっとわたしを見て、彩奈という子は口を開いた。
「つっ・・・翼を、探しに来た」
・・・わたしの顔はきっと、酷い顔をしている。
何で呼び捨てなの?どういう関係なの?探しに来たって、何?
——翼くんの想い人は、この人?
聞きたい。だけど、聞けない。
・・・聞きたくないよ。
「つ、翼くん。わたし、体調良くなったから教室行くね!」
バッとベッドから立ち上がって、急いで廊下へと行く。後ろから「広瀬!」という声が聞こえたけれど、立ち止まって振り向く勇気なんてわたしにはない。翼くんと転校生が、並んでいるのを見たくない。
怖くなって、わたしは逃げる。
いつもいつも、逃げてばっかり。
わたしは何て、弱いんだろう。
思い上がってた。
翼くんも、もしかしたらって。
でも、違った。
転校生がカーテンを開けて姿を現した時の、翼くんの目で、すぐにわかった。
・・・焦っている、けれども、愛しい、会いたかったと言う気持ちが、瞳の奥に潜んでいた気がした。
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