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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 右側の特等席。■お客様10人突破■ ( No.128 )
- 日時: 2012/10/23 21:29
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: p9ubVPbk)
【 第四十二話 】
教室へと続く階段を一気に、けれど無理すると辛いからゆっくりと登っていく。今は丁度授業中なので、バタバタと言う音が出ないように気をつけながら。
・・・何で逃げてしまうのだろうか。わたしはいつだってそうだ、嫌なことや怖い、そんな事があるとすぐに背を向けて逃げてしまう。その度に、誰かに助けられるんだ。友香や、真希くん達に。
——どうしてこんなに、弱いんだろう。体だけじゃない、わたしは心まで弱い。自分の意思を尊重して皆に伝える、そんな事が出来ない、弱い人間だ。
そして"普通"の高校生は、キラキラな笑顔で皆を楽しませる。グラウンドを楽しそうに駆け回る。授業中は元気に手を挙げて発言をする。
そんな普通な事が、わたしには出来ない。
虚弱体質のせいで、母をも殺してしまった。
・・・翼くんも、わたしみたいな人より、普通の子がいいでしょ?
ほら、あの、西町・・・彩奈ちゃん、だっけ?
あの、可愛すぎる。
同い年かは分からないけど、わたしと同じ高校生とは思えない。
——・・・なんでわたしは、こんな体なの?
可愛くなりたい。
翼くんの彼女に、なりたい。
そして、何より。
普通の高校生に、なりたい。
元気になったと言って保健室を飛び出たはずなのに、体が重くて熱い。
わたしは、翼くんとふたりで話した、秘密の場所へ向かった。
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