コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 右側の特等席。■お客様10人突破■ ( No.138 )
日時: 2012/11/10 10:45
名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: WUM5kxXu)


【 第四十五話 】




「失礼しまーす・・・」



カラリと保健室の扉を開ける。そこには笹川先生の姿しか見当たらなく、ほっとする。よかった、あのふたり、いなくなってる。けど、やっぱりふたりでいなくなったって事は——・・・。



「あら、広瀬さん。どうしたの?いきなり消えたから、びっくりしたのよ」
「あ、すいませんでした・・・」



そうだった。わたし、身勝手に保健室を飛び出してきたんだった。そのおかげで、眩暈もしたのだった。色々考えてたから、すっかり忘れていた。まあ、眩暈の事も忘れてたから、ちょうどいいのだが。



「まあ、とりあえず無事で良かったわ。帰るのよね?ほい、荷物」
「はい、ありがとうございます」



笹川先生からカバンを受け取り、「失礼しました」と保健室を出る。
ふう、と扉を背後に溜息をつき、下駄箱へ向かう——・・・



・・・はずだったのに。




「!? きゃっ!」



グイッと腕を引かれ、壁と壁の間に入れられる。引かれた腕と、壁が当たった背中が痛い。



「なっ、何・・・」
「なんで、逃げてんの」
「・・・え?」



掴まれていない手で背中をさすりながら、腕を引いた張本人を確かめようと顔をあげて・・・、止まった。




「・・・つばさ、くん?」



——なんで?