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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 流 星 恋 愛 。 ( No.152 )
- 日時: 2012/11/14 18:10
- 名前: ゆえ ◆Stella/Y/Y (ID: U2HpTvJX)
【 第五十二話 】
「・・・よ。広瀬」
「え、つ、翼く・・・」
ポカンとしている時、ふと思った。
呼び方、広瀬じゃん。
この前真優って呼んだのは、わたしの気のせいだったの?
——ほんと、罪な男。
「・・・ほれ、とりあえず保健室行くぞ」
「えっ、いやあの、わたし別に具合悪くな」
「行くぞ」
「・・・はい」
翼くんの、迫力ある真剣な顔で言われちゃ、叶わない。
「・・・よし、素直」
「・・・・・・」
そう言って、今度はニコリと優しく微笑む。
・・・これ、わざとなのかな、天然なのかな。
多分、いや絶対後者だ。天然だからこそ、タチが悪い。天然タラシだ。
「・・・そだ、今日笹川センセー出張で居ないから」
「え?なら、開いてないんじゃ・・・」
「鍵、持ってる」
「・・・・・・」
チャリ、と銀色で少し錆びた鍵を取り出す翼くん。
それ、一体どうしたの?
「ほら、行くぞ」
「あ——・・・」
グイッと手首を掴まれて、そのまま連れて行かれる。
チラリと友香達の方を見ると、美妃ちゃんも桃乃ちゃんも事情を聞いたのか、ふたりはガッツポーズをしながらわたしを見ていた。友香はなぜかファイティングポーズ。何故。
・・・目線を前に、・・・掴まれている手首にする。
この前とは全然違う力。
優しくわたしの手首を包むような、それでいて離さない、ような。
・・・知ってた?翼くん。
わたし、諦めると言って、諦めてなんかいない。
・・・・・・否、諦められなかった。
こんなにも、君の事しか見えてない。
望むなら、この手をずっと離さないでいてほしい。
——翼くん・・・。
・・・わたしを、好きになって。
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